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弱い人
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先生に連れられて保健室へ向かった。
あまり記憶が無い。
そのまま、流されるままいつの間にかベッドの中で横になっていた。
よっぽど顔色が悪かったらしい。
ぎゅっと布団を握りしめて目を閉じる。
俺、最低だ。
ちゃんと森宮には何もされていない。
俺を脅したのは別の人なんだ、といえば森宮は疑われずに済んだのに。
『森宮に殴られたんだな?頷け、さっさと頷け!!』
あの怒鳴り声が頭から離れない。
振り上げた拳が何度も顔の目の前まで向かってきた。
何もかもが怖くて、逆らうことも落ち着いて考えることも出来なくなる。
あの日から何かがおかしい。
声も動きも、耐えられない。
「は、ぁ……っ…」
ため息さえも詰まる。
もう森宮に合わせる顔がない。
きっと、もう話しかけてくれることもないだろう。
何故か森宮と話している時は平常心でいられた。
なんとなくなのだけど。
布団の中で丸くなりゆっくりと深呼吸を繰り返す。
眠ってしまえば恐怖なんて、きっと薄れてしまうから。
それなのに目を閉じているだけで色々な事を思い出してしまう。
悪いことばかりだ。
イイ事を思い出そうとしても、思い浮かぶのはここ数日の森宮だけ。
あぁそういえば…さっき俺の手を握って何を言ってくれていたんだっけ。
『大丈夫。羽白、俺が…』
涙で歪んで見えた森宮の顔が思い出せない。
あぁ、 一人でいるのは さびしい。
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