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頭が痛い。
何かがガリガリと俺の体を引っ掻き回す。
「はーい、次これいきまーす!」
「まじで人参挿れんの?鬼畜かよ。」
「ぅ"、あ…嫌、だ…っや、…め…ぅ"、ぁ"あ…っ、!!」
「動くなよ、ぶっ殺すぞ。」
痛い、痛い、怖い。
助けて。 誰か、助けて。
「ひ、っ……!?」
「…ごめん、うなされてたからちょっとはマシになるかと思ったけど逆効果だった。」
嫌な夢に飛び起きると投げ出した右手に温もりを感じた。
震え上がるような恐怖にベッドの端へ逃げると霞んだ視界の先に茶色い頭が見える。
夢から覚めても夢を見てるのかと一瞬疑ってしまった。
「も、りみや…?」
「おはよー。怖い夢でも見てたか?うなされてるとかそれどころじゃないレベルだったんだけど。」
「なんで、…俺、森宮に…っ…」
「あーもう、落ち着けって。何が言いたいのか1回まとめよ?別に五分後死ぬわけじゃないんだからさぁ。ほんと、お前見てると飽きないな。」
なんでここにいるんだ。
なんで俺と話してるんだ。
なんで、見捨てないんだ。
色んなことが頭をくるくると回る。
笑い飛ばす森宮が座っていた椅子の上に足を乗せて姿勢を崩すと優しく
「ゆっくり、教えて。」
と言った。
俺は駆け足になる心臓をなんとかおさえてベッドの真ん中まで戻り森宮を見上げる。
何から言えばいいのかわからない。
「なんで、ここに…?」
「教室にいなかったしここかなーみたいな?そういう意味じゃないか、話したかったから?」
「…なんで、俺…嘘、ついて…森宮してないのに、…」
「どうせ脅されたかそんなんだろ?アイツ俺のこと大っ嫌いだからさぁ。…羽白がもし本心で俺のこと悪者にしたならあんな悲しそうな顔しないだろ。」
悲しそうな顔、してた…?
あの時の俺は自分のことを守るので精一杯で。
なんでこんなに優しいことを言えるんだ。
何も言い返せないままいると森宮が困ったような顔で笑う。
「じゃー次、俺の質問な。」
真っ直ぐに見つめられる。
目が 離せない。
「羽白、お前。一体なに抱えてるんだ?」
真面目な森宮は普段とはまるで違う人みたいで。
俺は何も答えられないまま、ただその真っ直ぐな瞳を見つめていた。
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