アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
3
-
「何を抱えてるんだ。」
その言葉に思考が止まる。
何をいえばいいのか分からない。
抱えてる…?
俺はなんにも抱えてなんかいない。
きっと。
「おれ、馬鹿じゃないからさ。前から…てか普通に話すようになる前から羽白がクラスに居たの見てたからわかる。お前そんなんじゃなかったよな?普通に話したりしてたじゃん。…なんかあったんだろ?」
「…何も、…」
「何も無いのにそんなに人変わんないって。俺に言いにくいことなら無理強いはしないんだけどさ。…なんて言うんだろ、見てて俺が辛い。」
きっと、森宮は俺が過剰反応になっている事を言ってるんだと思う。
これがなんなのか俺自身わからない。
でも多分…あの日の出来事が原因だ。
言えるわけない。
男にレイプされたなんて。
口が裂けても言えない。
「せめて、何に怯えてるのかだけでも知りたい。…俺は羽白を怖がらせたい訳じゃないからさ。」
「…大声とか怒鳴り声、暴力…?あと振り上げた手とか大きな音とか目線も、怖くて。…震えが止まらなる。怖くて怖くて何も考えられなくなるんだ。」
うまく、言葉に出来てるだろうか。
前が見えない。
森宮がどんな顔をしているのかわからない。
嫌われたくないのに、好かれるための言葉が分からない。
「…なぁ羽白。抱きしめてもいいか?それは怖くないか?」
「怖く、…ない。」
「気づいてなくてごめんな。そんなに辛いのに一人でよく耐えてたな。羽白が一人で怯えなくて済むように…俺が守ってやるからな。」
「…っ、…ごめん、…っ…」
涙があふれてくる。
この人はどうしてこんなにも俺に優しくしてくれるんだろう。
俺はいつだって受け身で何一つ森宮のためにしてあげれてないのに。
優しく体が抱きしめられる。
ありがとう、の1言が言えない。
ずっと ずっと 怖かったんだ。
一人でいることが怖くて仕方なかった。
森宮のおかげでで あの日からの時間を生きていられたんだ。
「落ち着くまで、こうしてるから。」
「ん、…っ…ありがと、う…森宮。」
「…ん。」
俺の涙が止まるまで優しく背中をさすっていてくれる。
俺は弱くて弱くて情けない人間だけど。
きっといつか強くなるから。
その時まで 側にいて くれますか。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
17 / 426