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玄関に座り込んだまま一歩も歩けない。
頭の中はあの日のことで埋め尽くされている。
目を閉じれば姿が、気を緩めれば声が聞こえてくる。
肌に触れる感触が今更になって蘇ってきた。
「そ、んな……っ…」
ほんの少しだけ薄れていた。
忘れられるかもしれない、そんな希望が消えた。
森宮の兄だというあの男は間違いなく
『はー、ヤりもんにもならないね。お前ゴミ以下っかな!』
俺をレイプした奴だ。
「夏希、あの子の名前なんだっけ。」
「んー?羽白?羽白ー、…羽白なんだっけなぁ。」
「お友達の名前くらいちゃんと覚えようよ。ほら、思い出して。」
「あー…羽白蓮だ。草冠の。」
「なるほど。羽白蓮君か。」
あの日、ちらっと学生証を見た時確かにコレと同じ学校だったんだよね。
まさか友達だとは思ってなかったけど。
馬鹿が家まで案内してくれたからこれからの玩具には困らないな。
「あの子とよく遊んでるの?」
「最近は。面白いやつなんだよなー、馬鹿正直的なさぁ。」
「そっかそっか。あの子一人暮らし?親いなかったよね?」
「そー。まぁ立派だよな。同い年で一人暮らしってさぁ、俺絶対無理だし。」
「夏希はもう少し自立するべきだよ。羽白君みたいにね。」
「はいはい説教はケッコーです。」
本当に脳みそ空っぽだな、コレ。
でもまぁいい事は聞けた。
一人暮らしなら夜はコレさえいなきゃ邪魔は全くないだろ。
アレに友達がいるとも思えないしね。
後は…
「夏希、羽白君の連絡先持ってる?よく遊びに行くならもしもの時のためにお兄ちゃんにも教えてよ。」
「丁度さっき交換したーさっすが俺だな。送っといた。」
「すごいすごい、ありがとうね。」
馬鹿と玩具のおかげでこれからは暇しないで済むな。
送られてきた連絡先を追加しながらふ、と腹の中で笑った。
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