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カタカタと震える森宮の肩に触れようとしてためらう。
…触れられるの、怖いんだっけ。
それでもこのまま放置なんてできない。
触るからな、と1言声を掛けてそっと肩に触れる。
「っ、…ひ…、ぃ…っ…」
呼吸音のような短い悲鳴が聞こえる。
慌てて触れた手を離して頭を抱える。
こんなの普通じゃない。
救急車…警察…?
いや、そんなのあてにならない。
なによりこんなに怯えている羽白を他人に任せられるわけがない。
「…羽白、俺が誰だかわかる?」
「もりみ、や…っ…」
「そう。もう一回言ってみて。」
「…森宮。」
「俺のこと怖い?俺、羽白に痛いことも…怖いこともなーんもしない。したことないよな。」
「怖、く…ない……」
「安心した。顔上げて、見てみて。今、ここにいるの俺と羽白だけだからさ。」
ゆっくりと区切って言ってみせる。
俯いていた顔があがり俺と目が合う。
涙に溺れた目は"助けて"と叫んでいるような気がした。
「怖い?」
「怖くない…」
「俺、いつでも羽白が困った時助けに来るからさぁ。遠慮なんてしなくていーの。終わってからじゃ遅いしさ。部屋の電気つけてくる。手当…絆創膏じゃ足りないし薬局行ってくる。」
「…ぁ、……っ…」
そっと立ち上がって部屋の電気をつける。
こんなくらい部屋にいたら余計に気が滅入るし。
カバンを置いて財布だけをポケットに入れ直す。
羽白の傷だけ確認しようともう一度傍へ向かう。
「打撲かこれ…?ガーゼと消毒と、あと冷やすヤツ買ってくる。なんか欲しいものある?」
「…ら、な…ぃ…か、ら…」
「ん?もう一回。」
声が震えてうまく聞き取れない。
少し距離を詰めて耳を傾ける。
「何も、いらない…っ、…行かないで、…」
「…そうだよなぁ、気回らなくてごめん。ここにいる。」
「森宮、…っ…」
青あざの出来た頬に涙が伝う。
1人で 寂しかったんだな。
ずっと怖くて仕方なかったんだよな。
小さな小さな声、聞き取るのがやっとくらいの声で羽白が俺に言った。
「…抱き、しめ…て…っ…」
その姿があまりにも痛々しくて。
俺は優しく優しくその体を抱きしめ何度も
「大丈夫。大丈夫だからな。」
とだけ繰り返していた。
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