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空を見上げると真っ黒だった
目の前には小さい男の子がいる
膝を抱えて乾いたパンを齧って震えていた
それがずっと昔の自分だと気づくのに時間はかからなかった
俺は震える俺の前に屈んでみる
どうせ全部夢なんだから
「幸せ?」
小さな自分がそう問いかけてきた
まだ、子供だからその言葉の意味も理解してない癖に
虚ろな目の自分に俺は優しくする余裕もない
「お前は、昔から愛されるように作られてないんだ。残念だったな。」
パチリと目を開く。
全身が痛くて気だるい。
ふと、傍に誰かの体温を感じた。
爪先からゾッと何かが駆け上がる。
酷い寒気と恐怖に被ってた布団を手繰り寄せ出来る限りソレから距離をとる。
おまけに間抜けな声まで出た。
「ひ、……っ…」
「…おはよ。」
「森宮…、…?」
その顔を見て今朝のことを思い出す。
朝は何も考えられなかったが、今になっていろんなことを考え出す。
…学校は?なんできた?ずっとここで?
頭の中がパニックになって何からいえばいいのかわからない。
とりあえず
「…ごめん。」
「なに謝ってんのさぁ。何も謝るようなことしてないっしょ?」
「迷惑、かけた…よな。」
「迷惑?そんなの全くしてないしする予定もない。今更気にするよーな仲じゃないしさ。あっ、でもやっぱり怒ってる。」
「ごめん…」
森宮がきっとして俺の顔を見る。
怒ってる…というよりは、拗ねてる…?
「…なんでもっと早く連絡しなかったのさ。」
「そんなの、迷惑になるし…」
「羽白の考える迷惑がなんなのか知らないけどさぁ。俺は頼ってもらえない方が悲しいし迷惑。…いや、心配する。わかる?」
「…そんなの、初めて言われた。」
「はぁ…?」
心配なんてされた事ない。
怒られたことも、貶されたこともあるけど心配は初めてだからよくわからない。
なんで森宮は俺にこんなに優しくしてくれるんだ。
「じゃー俺が教えてあげるから。今日みたいになんかあったり、…他にも悲しかったり寂しかったり。そーいうのに遠慮はいらないから電話でもメールでもいいからすぐに連絡してよ。わかった?」
「でも、…」
「あーだから!してくんない方が心配すんの!それで俺が寂しくなるし…なんて言うんだろ、モヤモヤする。」
「…わかった。ありがとう、森宮。」
わからない事ばかりだけど。
そう言ってくれることが嬉しい。
俺は、ここにいていいんだと思える。
思わず笑が零れ強ばった体から力が抜ける
それを見た森宮がニッと笑った後、急に真面目な顔になる。
「それで、誰に何されたんだ?」
ほどけた心がまた締め付けられる。
言えない。
お前の兄ちゃんにレイプされたんだ
なんて、死んでも言えない。
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