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言えば傷つくのは森宮だ。
この前少し見ただけでも2人は仲が良さそうだった。
…絶対に森宮を傷つけたくない。
「…誰にも何もされてない。」
「それじゃ、その怪我は?普通じゃならないと思うけど。」
「階段から、落ちた。」
「なんで嘘つくのさ、…」
小さくそう呟き森宮が頭を抱えて俯く。
ごめん、ごめん。
本当のことを言っても嘘をついても森宮を傷つける結果にしかならない。
知らない誰かにされたのなら言ってしまっていたかもしれない。
でも、訳が違うんだ。
「…何も、何もされてない。」
「俺、羽白のこと助けたい。苦しんでるなら救いたい。…でも何もわかんなきゃ何も出来ないんだよ。俺の自分勝手じゃ出来ないんだよ…っ」
「ごめん、俺…」
言えない、どうしたらいいのか分からない。
本当は 助けて欲しい。
夜をひとりで過ごすのが怖い。
朝も昼もいつだって怖い。
でも、森宮に甘えるわけにはいかない。
下手に頼ったらあの人と森宮が会ってしまうかもしれない。
「自分のことは、自分で守るから。…駄目になったら助けてくれない、かな…」
「…遅すぎるじゃん、それじゃ。」
「お願い。信じて。」
「わかった。その代わり俺の目の前でなんかあったらその時は知らないからな。」
「ありがと。その時は素直に守られる。」
「よし、約束な。」
森宮が右手を俺へ向ける。
おかしな約束だ。
ありがと、森宮。
心のどこかが1人じゃないってだけでこんなに安心できるんだな。
「ん、約束。」
森宮を守るため
俺は、得意じゃない嘘を重ねた。
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