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食べ終わった容器をゴミ箱に捨て歯を磨く。
1人きりの部屋ではやることも何も無い。
前までそれが当たり前だったのに。
「ん、…?」
ウガイをし終えたところで机の上の携帯が震えていることに気付く。
電話…?
「はい、もしもし。」
『もしもし?暇でさぁ。羽白何してた?』
「歯磨いて寝ようとしてた。」
『はぁ?まだ10時だろ?寝るの早いって。』
「やることないし。」
『…早く起きて何すんの?』
「…ぼーっとしてる。」
そう言われれば何をするわけでもなくぼーっとベッドの上で寝転がってるだけだ。
早く寝て早く起きて何してんだ。
学校も行けないし…それこそ暇人だな。
『ホントなんか何もしないよなぁお前。なんか趣味とか探したら?』
「今までそういうのしたことないし…」
『まぁそっか。明日も放課後遊びに行くからさぁ。怪我治ったら外とか遊び行こーよ。』
「ん、行きたい。」
『そーしよ。でもあれか、羽白が来れるようになったらすぐテストだよなぁ。』
「あ…」
完璧に忘れてた。
その上、学校に行けてないってことはテスト勉強もしてない。
ただでさえ成績が良い訳じゃないのにこれはかなりまずい。
『…忘れてただろ。』
「忘れてた。」
『仕方ないな、この俺が教えてやるよ。成績上がるかは知らないけどさぁ。やんないよりマシだし。場所は羽白の家でいいだろ?』
「助かる、…ありがと。」
『…どういたしまして。あのさ。』
「ん?」
沈黙。
返事が返ってこない。
電波が悪いのか…?
立ち上がって部屋をクルクルと回る。
するとやっと電話の向こうから声が聞こえてくる。
『嘘でもいいから、褒めてくれないかな。』
「褒める…?」
真面目な声だ。
電話越しでもわかる。
声が震えている。
「森宮は、友達思いで優しくてなんでも真面目で真っ直ぐで…それに、器用なやつだ。森宮のおかげで俺、今すごく楽しい。…ありがとう。」
『…ふっ、…最後褒めてないってそれ。』
「ぅ"…褒めるとかわからないし、…」
『はーありがと。それじゃ勉強してくんねー。また明日。』
「あ、うん…また明日。」
何か言う間もなくプチ、と電話が切れる。
あれ…?森宮、泣いてた…?
携帯を耳に当てたままずっと森宮の声が頭から離れなかった。
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