アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
4
-
それから1日中羽白を目で追っていた訳なんだけど。
「…あの金髪、全然羽白から離れない。」
「夏希完敗かー?」
「話しかけるタイミングすら無いんだよな、…気まずい。」
「お前は恋する乙女か。」
焼きそばパンを食べながらじっと羽白へ目を向ける。
菓子パンを食べながら楽しそうに話す姿はどこにでもいる高校生だ。
でも、俺はいくつも怯えた姿を見てきた。
ただただ心配で仕方ない。
「普通に、メールでもしたら?」
「それだ…!」
「夏希って本当にそういう所弱いよな、頭はいいのに。」
「嫌味か。刺すぞ。」
携帯を取り出してメッセージを開く。
宛先に羽白を選んで本文を記入する。
『今日、放課後一緒に帰れる?』
もし。
もしも、これで断られたら諦めよう。
もう羽白には関わらないし友達ぶることもやめる。
あぁ、…我ながら気持ち悪い。
「あ、携帯見てるぞ。」
「実況しなくていいからさぁ…」
「あっこっち見た。」
「え。」
田中の声に顔を上げる。
羽白が俺の方を見て小さく手を振る。
あれ。
ドキドキと心臓が高鳴る。
「羽白、…」
教室の端と端。
聞こえるわけがない。
羽白は振っていた手を止めると親指と人差し指で丸を作って小さく笑う。
あぁ よかった。
また 失うのかと思った。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
56 / 426