アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
2
-
馬鹿だ。
言葉に出してから後悔したって意味は無い。
ただ、俯いたまま顔を挙げられない。
自分のことを嫌ってるか?なんて聞かれても困らせるだけなのに。
今日1日。
直接話さないまま遠くから羽白を見ていた。
羽白が転校生と話す度、笑う度、胸の奥が締め付けられるようなキリキリとする痛みを感じた。
『夏希、それは…恋って言うんだぜ…』
『知恵袋と同じ答え?そんなんじゃないと思うだけどさぁ…』
『好きになったなら仕方ないんじゃね?いいじゃん、俺は応援するけどな。』
さっきの田中の言葉を思い出す。
もし、これが恋なら嫌われてるのは致命的だ。
…それにこんなにモヤモヤしてちゃ何も集中出来ない。
答えを聞いてダメならもう関わらなければいいだけだし。
「嫌いって、俺が森宮を?」
「…そ。」
「え、…なんで?」
予想してなかった返答に拍子抜けしてしまう。
…なんでってそんな答えあるか普通。
「この前、ほら…最後に会った日にさ。迷惑がられたと思って。」
「へ…アレは、その…用事ができて。俺逆に森宮に嫌われてないかって心配で…」
「はぁ?もーなにさそれ。お互い嫌われてないかって心配してたって…馬鹿だなぁ。」
「じゃあ、俺も森宮に嫌われてない…?」
気が抜けて笑ってると羽白が心配そうな顔でそう聞いてくる。
今まで眼帯のおかげで顔がちゃんと見えていなかったのに今日はしっかり見えるからかもしれない。
何故か顔を見て話すのが照れくさくて仕方ない。
「嫌うわけないしさぁ、…それこそなんで?だよ。」
「…よかった。」
「ホント。よかったよかった。」
羽白の横まで言ってそう言って笑うと、つられて羽白も笑う。
あぁ、隣で笑ってる。
それが嬉しくていくらでも笑顔になれる。
これが恋だとしても、恋じゃなかったとしても。
俺はただ羽白の隣でこうやって笑えてるだけでいい。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
59 / 426