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「…森宮?」
エレベーターの中、1言呟いて固まった森宮の顔を覗き込む。
何があったんだ…?
よくわからず首をかしげてるとエレベーターが家のある階へ着く。
「あーごめん、なんでもないよ。ちょっと考え事しちゃってさぁ。」
「…ならいいんだけど。」
「久々に羽白の家行くから楽しみ。なんか変わった?」
「いや、全く。」
何も無さそうに森宮が先に降りて歩いていく。
一瞬、顔が強ばっていたような気がしたけど多分気のせい。
まぁいいかと部屋の扉を開けて中へと二人揃って入っていく。
こうして二人で話すのは久しぶりだ。
「お邪魔します。」
「どうぞ。」
「相変わらず殺風景な部屋だな、なんか家具増やせば?テレビとかさぁ。」
「使わないし見ないし…出来るだけ、あの人たちに負担かけたくないし。」
「ま、それもそっか。やっぱここ落ち着くな。家にいるとピリピリしちゃってさ、落ち着かないの。ここはリラックス出来るから最高。」
「…森宮の家って4人暮らし?」
「そ。俺と親と兄貴。」
床へ足を伸ばして座ると、大きな欠伸をしながらそう答えられる。
あんまり寝れてないのか…?
茶色い髪がフワフワと風で浮く。
だんだんと体型が崩れて床へ寝転ぶような体制になるとポツリと森宮が呟いた。
「うち、親と仲悪くてさぁ。…いつも喧嘩ばっか。」
「あ、…ごめん。」
「謝んなくていいよ。別に気にすることじゃないしさぁ。…どうでもいーの。あんな人達。」
そういう癖に閉じた森宮の瞼が震えている。
こんな時、どう話したらいいのかわからない。
悩んだ末にそっと手に手を重ねてみる。
「…ね、羽白。話聞いてくれる?」
「うん。」
「暗くなるかもしんないよ。」
「平気。」
「…ありがとう。」
重ねた手のひらの下。
冷たい森宮の手が震える。
俺はただ、なにも気付かないふりをしてその手を握った。
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