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「…羽白、何泣いてんのさぁ。俺が悪者みたいじゃん。」
「ごめん、…でも、勝手に…っ…」
「こんな話聞かせてごめんね。よいしょ、…」
体を起こしてそっと羽白の頬へ触れる。
もう怯えたりもしないみたいだ。
そっと涙を拭ってみても、すぐに次の涙が溢れてくる。
「…俺さ。昔の自分も今の自分も好きじゃない。馬鹿みたいだし。髪染めて目立つようになって楽になったし友達もできた。でも教師を敵に回した。」
「あ、…生徒指導、の…?」
「そ。中学までは生徒を敵に回してた。敵が変わっただけ。人を見た目で判断するの嫌いでさぁ、俺の友達あんなのばっかだけど中身はいい奴だし。…話さなきゃわかんないんだよ。人って。」
「…森宮、なんで俺に…話しかけてくれたんだ、…?」
「…なんでだろ。」
いつもだったらきっと見て見ぬふりをしていた。
たくさんの野次馬の中、誰一人羽白を助けようとしなかった。
俺はただその大勢と一緒になりたくなかっただけかもしれない。
俺はあの時、羽白の気持ちを一瞬でも考えてたのだろうか。
「自分のためだったのかも。…羽白、俺羽白が思ってるよりいい奴じゃないよ。」
「違う、森宮は…」
涙に濡れた羽白の顔が上がる。
酷い顔だ。
声も震えてなんて言ってるかうまく聞き取れない。
なのに、そんな羽白が愛しくて仕方ない。
「無理して言わなくていーよ。ね、もう少しだけ話してもいい?」
「ん、…森宮が楽になるまで、聞く。」
「…優しいな、ホント。
あのさ。
…俺、大人になったら死のうと思っててさ。」
震える羽白の体を抱きしめてそう囁いた。
ずっと一人で抑えてきたんだ。
今日くらい、漏らしたって神様も許してくれるような気がする。
腕の中、羽白はどんな顔をしてるんだろう。
また 泣かせているのだろうか。
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