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高校はそれなりに好きなことが出来た。
大学に行っても何がしたいわけでもないし、今から目指すものだってない。
親は名前のある大学に行けっていうけどそれだけは絶対に嫌だ。
今は子供だからまだ自由がある。
けど、大人になったら…俺はなんのために生きていくのかわからない。
「死ぬって、自殺とか…?」
「かな。家族に迷惑かけまくって死にたい。部屋に引きこもって餓死とかさぁ。そんくらいしなきゃね。」
「…ぃ、…やだ、っ…」
「ん?なに?」
腕の中の羽白が俺の背中をギュッと握りしめる。
痛いくらいに握りしめて、泣き叫ぶように言った。
「嫌だ、…っ…死ぬ、とか…簡単に言ったら駄目だ…から、…!」
「…え?」
「死んだら、二度と会えなくなる…寂しくても悲しくてももうソコにはいなくて…探しても、骨しか残らないんだ…」
そこまで聞いてハッとする。
そうだ、羽白は親を亡くして…
言ってはいけない事を言ってしまったと歯を食いしばる。
…これだけは羽白に伝えたらいけなかった。
「ごめ、…」
「辛いなら、ずっと…子供のままでいいから。…死ぬとか思わないで。」
「…それもそっか。羽白のこと置いて死ぬのも心苦しいしね。」
「ん、……」
トントン、と背中を叩く。
まるで小さな子供みたいだ。
もしかすると
俺も羽白も親の愛を受け損なったんじゃないだろうか。
だから、こうやってお互いの傷を舐めあって支えあって。
まるで自分の痛みのように感じあえる。
「羽白。…ありがと。」
「…何もしてない。」
「こーやっていてくれるのが嬉しいの。楽になった。俺、親見返せるくらい勉強してみる。」
「応援してる。俺も、…頑張ってみる。一人じゃ無理かもしれないから…一緒に。」
「それじゃ、お泊まり会はお互い本気で。頑張ろ。」
「うん。」
体を離して羽白の髪を撫でる。
心が軽くなった気がする。
もう、怖くない。
1人じゃないから。
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