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カタカタと遠くで音が聞こえる。
なんの音だろう、周りが良く見えない。
あぁ まだもう少し眠っていたい。
眠っていたいのに。
「はーしろ!」
「羽白ー?」
前から後ろから、俺の名前を呼ぶ声が聞こえる。
夢の中から引きずり出されて仕方なく頭をあげる。
…いつの間に寝てたんだろう。
退屈な英語の授業は起きてたくても勝手に眠ってしまうから困ってしまう。
「あ、やっと起きたな。森宮がずーっと呼んでるで?」
「へ、…?もりみや…もりみ、や…?」
「はいはい。羽白寝起き悪い人?寝ぼけてないでさぁ、ほら目開いてよ。」
「…ん、…あ。森宮だ。」
「あかんなぁ、水道で顔洗ってきたら?顔がまだ眠いまんまやで。」
「…ほら、荷物持ってあげるから。立って歩く!早く帰って買い物行くって約束しただろー?」
ぐい、と腕を引っ張られてよろよろと森宮にもたれかかる。
やっと眠気が覚めてきたけどどっぷり浸かった夢の中からはなかなか帰ってこれない。
ぼやーっとした視界の中、金色の誰かが笑っている。
「ん、…またね。三上。」
「はいはい、気付けて帰りよ?森宮もまたな!」
「んーまたね。ほら、羽白そろそろシャキっとしなよ。」
「寝てたのに起こすから…」
「勉強頑張るって言った途端に寝てちゃダメじゃん…ほらほら、フラフラしてたら転けるよー?」
「あ、…そうだった。」
勉強頑張るんだった。
と、ふと目が覚める。
教室の前で周りを見渡す姿は少し不審かもしれない。
森宮をじっと見ると少し怖い顔をしている気がする。
…寝ぼけすぎた。
「ごめん、目覚めた。…怒ってる?」
「いや全然怒ってないけどさぁ。羽白って思ってたよりも面白いやつだなーってね。」
「面白い…?」
意味がわからず首を傾げると森宮に手を引っ張られる。
今日の森宮はいつもよりもせっかちだな。
「さ、早く早く。荷物置いたら買い物行って、ご飯食べて…それから勉強ね。」
「わっ…引っ張らなくても歩くって…」
すっかり眠気も覚めた。
昼の緊張が嘘みたいに、楽しみでワクワクしている。
二人きりの時間が始まる
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