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…遅い。
連絡が無いまま1時間、ずっとドアの前で羽白を待ち続ける。
『…ごめん。大丈夫だから。』
出ていく前の羽白の言葉。
大丈夫、なんて言ってたけどどうみても大丈夫じゃないし。
何しに行ってるのかどこに行ってるのかすらわからない。
…そろそろ、少しくらい頼ってくれたっていいのに。
晩御飯でも作って待とうかな、なんて思い始めた頃ようやく目の前のドアが開いた。
「…森宮?」
「っ、羽白!何しに行ってたのさ、何も言わないで…心配してたのに…!」
「…ごめん。でも、本当に少し散歩してただけだから。」
嘘ヘタクソすぎるって…。
なんで8時に飛び起きて慌てて散歩しに行くのさ、馬鹿か。
でも問い詰めたとこでまた困らせるだけだしどうせ教えてくれないし。
「あー…わかった。散歩ね、今はそれでいいからさ。とりあえずご飯どうする?」
「先、お風呂入りたい。」
「ん。じゃ、俺ご飯作っとくからゆっくり入ってていーよ。」
「…ありがと。」
少しくらい問い詰めてやろうかと羽白へ向き直ると俯きがちだった羽白が振り返って微かに笑う。
…ずるい。
その笑顔を向けられると何も言えなくなる。
「はぁ、…肉と魚どっちがいい?」
「肉。」
「うん、だよね。」
いつも通りの羽白だ、と安心する。
テスト終わったら少し聞いてみるか…だから今は我慢。
水道で手を洗いながらそう自分へ言い聞かせた。
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