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いつも通り、ふと後ろを振り向いたら羽白の顔色が明らかに悪かった。
大丈夫?って聞こうとしたけど…大丈夫じゃないからこんな顔してるんだとすぐわかった。
「…羽白、保健室行こか。」
「ううん。大丈夫。」
「変なとこで遠慮せんでええから。顔色悪いし、寝れてへんのちゃう?」
「ちょっとだけ。でも大丈夫。…授業抜けたくないから。」
「んー…わかった。でもしんどなったすぐ言ってや?羽白の一人や二人担いでいけるからな!」
「ありがと、三上。」
羽白がそう言って優しく微笑む。
…けど、目の下のクマは見え見え。
睡眠時間だけは飛び抜けて確保してるはずの羽白が寝不足なんて明日は槍が降りそうだ。
そんなになるほどの悩み事でもあるなら聞いてあげたいけど…多分力にはなれない。
後で森宮に言っとこう、とだけ思って肩肘をついて目を閉じた。
「白雪姫、僕達と一緒に暮らそうよ!きっと毎日楽しいよ。」
「…わぁ。ありがとう嬉しい。1人じゃないなら寂しくない…わ。」
「白雪姫!白雪姫は何が好き?僕達がなんだって好きなものを持ってくるよ!」
「綺麗なお花が好き、青い空が好き、……えっと、…」
「可愛い小鳥が好き、な。…あーこれ本番までに間に合うかな。」
「…ごめんね、明日までに絶対覚えてくる。」
「昨日もそう言ってたんだよなぁ…」
台本15ページ。
全ページに台詞がたくさん。
最初から最後まで。
動きも、話し方もなにもかも覚えなきゃならない。
「羽白、またさっきのとこから。」
「うん。…綺麗なお花が好き、青い空が好き、可愛い小鳥が好き。きっとあなた達の笑顔が私は大好きよ。」
「もうちょっと感情込めて言えないかな、本当に好きって感じで。」
「…好き。」
「もーいいや、白雪姫死んだ所からいこ。羽白、これ宿題な。」
「…ごめんなさい。」
台本を握りしめた。
やっぱり、上手くできない。
主人公なんて俺には無理だよ。
なんで。
もし俺のせいで優勝できなかったら。
きっと今のままじゃ優勝なんかできない。
みんなのセリフを聞きながら俯いて目を閉じる。
なんとかしなきゃ。
どうしたら俺もみんなみたいになれるんだ。
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