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桜の弟。1
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夏side
翌朝、目が覚めた僕は朝ご飯を作るのに
リビングを通って、キッチンへと向かった。
「まだ…?また…? 鳴ってるな。桜起こそうか…」
"まだ" と言うべきか、"また" と言うべきか…、
鳴り響くのは桜の携帯の着信音。
とりあえず、桜を起こすために携帯を持って
一旦部屋へと戻ることにした。
「桜、起きて〜。電話鳴ってる」
「んぅ〜、分かった。…電話、誰……?」
寝ぼけながらに電話の画面を見て、顔を青ざめた。
そして慌てて電話に出ると、切羽詰まった声が聞こえ
電話の相手も何やら焦っている様子だ。
一言二言 手短に 話してから、
すぐに出かける準備をして
外出届を出しに行こうとする桜に僕もついていく。
「何があったの…?」
「弟が行方不明になった」
正門を出たところでタクシーに乗り、行き先を告げる。
行方不明と言いながら、
まるでいる場所を知っているようだった。
「もしもし、アオ? 精神病院に連絡して、
すぐ入院できるようにして貰えない?裏ルート使って」
電話が終わってしばらくすると、
桜の家の前に着く。
桜は、すぐに家に入って行き鍵を閉めた。
タクシーのお金を払って待っていると
黒色の車が来て、それと同時に桜が弟と思われる人を
横抱きにして家の中から出て来た。
「弟が迷惑かけてすみませんでした。
病院まで、なるべく早くお願いします」
それだけ伝えて車に乗り込む。
僕も、とりあえず乗らせてもらったが
そこにはアオも乗っていて
何故いるのだろうと、謎が深まった。
また、虚ろに開かれている弟の目は
兄以外の人が視界に入ると、殺意を持った目を向け
それを見た桜が視界を塞いでいた。
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