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桜の弟。3
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桜side
それから二、三日は病院に泊まり込んだ。
僕以外の人が来ると殺してしまいそうなほどに
殺気を放ち、それに恐れた病院の人たちが
誰一人として雪に近づけなかったからだ。
治療法を簡単に教えてもらい
僕が代わりに雪の治療を行った。
四年くらいに前から、この時期に酷くなる。
そして、その治療をするのは決まって僕だった。
「雪、ご飯持って来た」
「お兄ちゃん…?」
「うん。どうしたの」
雪は、僕が病室に入ると毎回
"お兄ちゃん?" と確認するように聞いてくる。
それが、不安からくるものなのか
ただ、僕がいる事を確認するためなのか
分からなかったが
そう聞かれる事がすごく辛く感じた。
「お兄ちゃん、泣きそう…。何かあったの…?」
「いや。特にはないよ」
「そぉ…、無理しないでね」
僕よりも、雪の方が泣きそうな顔をしている。
ただ、僕には心配するといった感情は
欠けていて特に言葉も返すことをしなかった。
他の人から見たら冷たいかもしれないが
これが、僕たち兄弟の間では
ごく普通のやりとりだ。
弟として見ることが少ないからか、
これといって特別な感情を持つこと自体少ない。
「ほら、口開けろ」
「あ…」
素直に開けられた口に
病院で作られたお粥を冷ましてから入れる。
淡々と作業のように食べさせるが
雪から文句を言われることもなかった。
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