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逃亡
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エレベーターを降り、ホテルのような中通路を進む。外から完全に見えない造りだ。
奥から二番目のドア前で南倉は止まり、鍵を――ユキトの目には変わった形に見えた――開ける。依頼人を先に入れ、自らも中に滑り込んだ南倉は内鍵を掛けると幾分ホッとしたようだった。
「南倉さん、教えて下さい」
玄関で二人立ったまま、ユキトはとうとう切り出す。
端折られた疑問は探偵に的確に伝わった。ひとつ頷くと南倉は口を開く。
「ユキトくん。解決するまでここに居て。一歩も外に出ないで」
しかし、南倉から飛び出た言葉はユキトの予想の斜め上を行っていた。理解できず依頼人はぱちくりする。
「え?あ…あの、でも俺、学校行かなきゃだし…家にも連絡」
「ユキトくん」
ユキトの当たり前の言い分を南倉は静かに、しかし鋭く遮る。ユキトがハッと探偵を見ると、大人は至極深刻かつ真剣な目をしていた。
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