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罠
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『夫妻は、共に拳銃のようなもので数発撃たれており…』
被害者の遺族の心情など無視してアナウンサーは淡々と続ける。
ユキトは半ば放心して聞いていた。しかし、次の言葉に我に返る。
『その場に居合わせたと思われる、朝霧グループ第三秘書の男性も肩を撃たれ意識不明の重体です』
時任は優秀だ。それゆえに、執事の他に社長秘書も任されていた。
肩書きは確か――
第三。
ユキトは再び走り出す。
何かの間違いであって欲しかった。だけど、事実だった。
『意識不明』と『重体』の文字が頭の中をグルグル回る。ユキトの涙が後方へと浚われていく。
――嫌だ…時任さん、時任さん!死なないで!!
「あッ!」
道路の窪みに足をとられユキトは転ぶ。靴下が片方破れていた。今になって自分が靴を履いていない事を知る。
咄嗟に手で支えるも掌を擦りむき、じわじわと血が浮かんだ。その赤色と写真の時任がリンクする。
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