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対峙
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さあ、泣くか。怒るか。
長谷部はユキトをジッと観察する。
御曹司の両親をメインとした復讐が、いつの間にか御曹司を中心に回っている。その矛盾には犯人自身も気付いている。でも、抗えなかった。
本当は少年の両親だけでなく時任も殺したかった。二度とユキトに近付いて欲しくなかった。少年を誘き出す餌なので出来なかったけれど。
「自首して下さい」
ユキトが口を開いたのは、間もなく。
しかし、長谷部の予想を悉く裏切る言葉だった。
泣きも怒りもせず、怯えの表情すらなく。
はっきりと、言った。
「お願いします、自首して下さい」と真剣な目で、もう一度。
長谷部は南倉同様、人心を計るのが上手い。
ユキトの性格は把握している筈だった。なのに少年は、ここに来て予測とずれた反応をする。
――南倉のせいか
ユキトが苦しめば苦しむだけいい。とことんなまでに一人になればいい。そうすれば寂しくない。暗い、真っ黒な執着心。
――それなのに…俺の気持ちも知らずに
始めは、メイドと執事だけだった。
だけど、稲田達により少しずつ明るくなった少年は、学校で親友に近い友を作った。
話し方が変わり、一人称が『俺』で統一された。
料理に興味を覚え、シェフや他のメイドともよく話すようになった。
そして、よりによって南倉と出会い。恋人同士になった。
――許しませんよ、坊っちゃん。貴方だけ救われるなんて
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