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再会
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犯人は黙秘を貫いている。だから、こんなにも留置期間が延長されているのだ。
否それはどうでもいい、公表とはどういう事だ。疑問が表情に出ている沙羽にユキトは一つ頷く。
「この数週間、俺と南倉さんは15年前の本当の証拠を掻き集めていました。難しかったですが…当時、鑑識班だった方と連絡が取れたんです」
既に定年退職していたその男性は、沙羽達の両親は他殺で火事も放火だと確信していた。
なのに、上司から突然「この件は只の事故だ」と告げられ捜査は打ち切られた。
彼は司法を信じて職を選んだタイプだった。だから諦められなかった。彼は廃棄を命じられた捜査資料を、こっそりと自宅に持ち帰った。
「それについては罰を受けると仰ってくれています。でも『これでようやく被害者の方々が浮かばれますね』と喜んで下さいました」
捜査資料には、遺体写真も残されていた。銃痕も映っている。揺るぎない、証拠だった。
「それにメイド長の緒方さんも当時、母が不審な電話をしているのを聞いています。彼女も証言して下さるそうです」
味方は、こんなに居ます。
ユキトのその言葉を遮り、沙羽は眼前のガラスに拳を打ち付けた。
強化ガラスとはいえ大きく音が反響する。警察官の制止を無視して被疑者は少年を睨み付けた。
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