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再会
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「…過去を抜きにしたら、そりゃ貴方は俺の憎むべき人だと思います。特に稲田さんや時任さんの件に対しては」
幸いにも、時任は一命を取り止めた。
しかし犯人に殺意があったにしろ無かったにしろ、結果論であって経過は同じ。行為自体が許されるものではない。
だけど。
と、ユキトは沙羽を見た。ふとした仕草で、その大きな目には不思議な色が垣間見えた。
「そうなっても俺、憎める自分を想像できなくて。何でかなって、考えたんです」
青年は少年が何を述べたいのか判断しかねた。とりあえず聞くに徹する。
「そしたら、俺そういや学校も休まず行ってたし、家に帰らない日も無かったなって」
ユキトにとって家は怖く、それによって対人恐怖気味になった彼はクラスにも馴染めなかった。中学生になった頃は一層酷かった。
でも、病気の日以外は皆勤賞で家出も無かった。皮肉にも嘘で行われた事になってしまったけれど。
何でかって、それは多分。
ユキトの唇が動く。何故か沙羽の心臓がざわめいた。
「『長谷部さん』が送迎してくれたからじゃないかって」
家や学校で嫌な事があっても若しくは気が重くても、変わらず接してくれる存在。
その時は気付かなくても、後でいかに大切だったか思い知らされる。
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