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再会
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長谷部の顔を見ると力が抜けていた。
声を掛けられるとホッとして、油断して泣きそうになった日もあった。
例え相手は演技であっても、そうなのだ。少年に、とって。
ユキトはガラス越しの顔を見つめた。沙羽の動悸が速まる。
「貴方も、大切な人なんです。……沙羽さん」
沙羽はたまらなくなった。限界で耐えられなくて立ち上がった。勢い付き椅子が派手な音を立てる。
自分がどうして少年に触れられないのか、近寄って抱き締められないのかを考えてしまいそうになったから。
――そんな権利、俺には無いのに
「あのっ俺、また来ます!」
時間が余っているも、面会を切り上げようとする元運転手の背に向かってユキトは呼び掛ける。沙羽は「結構です」と振り返りもせずに冷たく切り捨てた。
「来ます、絶対!ずっと、ずっと来ますから!!」
まったく、何で酷い目に遭わされた加害者にここまで言えるのか。沙羽は理解に苦しむ。
――苦しむ、けど
「本当、バカですね…貴方は」
胸の辺りが暖かくなった事実を、青年は否定できなかった。
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