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再会
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朝霧家の使用人を調べ運転手の正体を知ってから、南倉は姿を眩ました兄を探していた。
ユキトにも申し訳なく詫びるしか出来なかった。弟として、責任を持って沙羽を止めたかった。結論としては兄の方が一枚も二枚も上手だったが。
朝霧社長夫妻を殺害した事で、沙羽の罪は圧倒的に重くなった。
少年の両親、特に父親は性根は腐っていれど社会に貢献している。朝霧グループはあらゆる分野に流通する日本の一大企業だ。
もちろん沙羽には最高の弁護士を付けるつもりだが、このままでは最悪の判決も覚悟しなければならない。それだけは如何なる手段を投じても避けたかった。
だから、南倉が狙うのは情状酌量。
朝霧夫妻の過ちを訴え出る。これしか道は無い。沙羽が、適当な自己都合の動機を言う前に。
しかしその為には、御曹司に犠牲になって貰わねばならなかった。
気遣われる立場から一転、責められる側になるのは精神的に来るだろう。探偵は力の限りのサポートをするつもりだが、それでも矢面に立つのはユキトだ。だから南倉は二の足を踏んでいた。
『15年前の事件を公にしたいです』
しかし、そう切り出したのは少年の方からだった。
探偵としては願ってもない申し出だったが、同時に不安に駆られた。南倉は恋人も兄も大切で、恋人はまだ中学生。犯罪人への一斉非難はその子供にも甘くない。
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