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再会
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傍らからの声に南倉は意識を引き戻す。車窓から外を眺めていたユキトが尋ねたのだ。
これから入院中の時任の見舞いに行く予定だが、どうも道が違う気がしたのだろう。やはり方向音痴ではないらしい。
ハテナマークを浮かべる恋人に青年は「ん、違うよ」とあっさり宣う。
「明日からユキトくんも多分俺も外を自由に歩けないからさ、ちょっと寄り道」
「デートしよ?」と横目で一瞥すると、ポカンとしていた助手席の顔は僅かに曇った。『そんな事してる場合なのか』と逡巡しているのがありありと分かる。
しかし今日だけは自分を甘やかす事にしたのか、ぎこちなく首肯した。気まずげながらも少し嬉しそうなその頭を、信号待ちの隙に南倉は柔らかく撫でた。
「すごく静かですね」
町の喧騒から離れた竹林公園。そこに降り立った二人は車を置いてゆったり歩く。
「うん、お爺ちゃんお婆ちゃんに人気のスポットだからかな」との南倉の言に周りを見てみると確かに高齢者が多い。トイレもバリアフリーらしく、なるほどとユキトは思った。
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