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再会
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見上げると清んだ初冬の空。少年は肺一杯に酸素を吸う。多分もう少ししたら吐息も白くなるのだろう。
中学生としては物足りないデート先だが、これはこれでいい。
「あのさ」
二人で散歩を楽しむ中、南倉が話しかける。
ユキトは隣を見上げた。探偵は薄手のコートに手を突っ込んだまま続ける。
「ユキトくんは、どうして俺が朝霧に復讐しなかったと思う?」
ユキトの心臓が大きく跳ねる。考えるのを故意に避けていた内容だったからだ。
しかし南倉だって普通の人。恨んだら復讐心を抱くのも道理だ。
少年は自分の脳をフル回転させて思考する。しばらく悩み、だがどうしても分からず「分かりません」と正直に告げた。
「うん」と南倉は微笑む。彼は答えられないと確信していた。
かつて己だけの感情で動いていた恋人は成長したが、それでも及ばない所だろう。
なのにわざわざ訊いたのは、単に一生懸命考えるユキトの姿を見たかったという悪戯心だったりする。
南倉は足を一歩踏み出して、答えた。
「キミが居たからだよ」
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