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不安
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「柚、ゆーず。聞こえるか?」
返して。返して。
「返し、て…!」
「それはダメ。」
「返して、よ!はやく!」
「そんなに泣いて、震えて。どうした?1回落ち着け?」
「落ち着きたいの!…だから、カッター返して!」
「ダメ。さっきのも結構深く切ってる。血、全然止まんないじゃん」
「うるさ、い!」
右手でリスカの傷の上から引っ掻く。
さっきよりもずっと痛くて一瞬どきっとする。
「柚!」
突然大きな声を出されてビクッと固まる。
「また、1から治療しなきゃダメなの?あんなに治したいって泣いてただろ」
そう言われて、思い出した。
あの悔しくて絶望的でもう二度とやるか。って思った気持ち
右手を左手から離す
「怖かったら泣いてもいいし、俺にどんだけあたったっていいって言ったはずだぞ?でも、リスカはしないって約束だろ。」
「ぁ…ぃや、…ごめん、なさい、ごめんなさい」
また涙が溢れる。
自分でも自分が分からなくて嫌になる。
「大丈夫 大丈夫」
ずっとそうやって撫でてくれる。
いつまで泣いてても怒らない。
好きなだけ泣いたし、亮も少し叩いてしまった。
でも、うんうんって受け入れてくれて、それにも泣いて。やっと落ち着いたのは1時間後くらいだった。
「落ち着いた?」
「…うん、あり、がと。ごめん。」
「大丈ー夫。でも、よくあそこで耐えたな」
にこって笑ってくれて嬉しくなる。
「うん、ダメって、思ったの」
そう伝えると、えらいえらいって手を握ってくれた。
「消毒我慢できるかな~?」
バカにされて、悔しいけど消毒してくれるんだ。と思うとありがたさしか感じない
「こっちおいで」
と、リビングのソファを指される。
消毒は痛くて好きじゃないけどここで嫌がるのも子供みたいで嫌だった。
ソファに座ると
「腕、出して」
と言われる。恐る恐る腕を出すとしっかりつかまれる。
瞬間、腕が痛み、見ると白い脱脂綿を当てられていた。
「いた、いっ…」
「我慢 我慢」
消毒が終わり綺麗に包帯を巻いてくれた。
「…ありがと」
「おう、相談は明日だな」
と苦笑され、頬を膨らませる。
でも、飽きずに相談に乗ってくれる優しさに1つ、また1つと亮を好きになる。
「ほんと、ありがと」
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