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温かい家 side翠
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side 翠
足は痛かったけど遊が手を繋いでいてくれたからそこに体重をかけていると少し楽で無事、遊のお家についた。
途中、怒られるか心配だったけど、大丈夫って笑ってくれて心がぽかぽかしてなんだかそのまま体重をかけてしまっていた。
遊は本当に、俺が何をしても怒らない。
でも、お家は色々なものがあっていろんな事されてきたから、お家の中にいるのが遊でも出来ることなら入りたくない。
「翠、おいで?大丈夫だよ。」
優しい声でそう言って手を差し出してくれる。
今までにない感覚で怖くて、でも嬉しくて。
遊の手を掴もうとしたけど不意に目の中に入ってきた家の中の物が怖くてそのまま玄関の隅へ寄った。
タンス。あれは指を挟まれる。
ベッド。あれは痛いことや恥ずかしいことされる。
階段。あそこは落とされる。
コード。あれは首を絞められる。
ここから見えるだけでこんなに痛いものがあるのに中に入ったらきっともっとたくさんあるに決まってる。
でも、遊は俺を買ってくれたんだからご主人様…ご主人様に逆らうのは絶対にしちゃダメなことだって施設長さんに教えてもらった
「…っ」
遊の手を掴もうと手を出そうとしたけど震えていて動かせない
「怖い?」
そう聞かれ、申し訳なくて涙が滲んだ。
「そうだよな。知らない人の家に突然入れってのも怖いよな」
明るい声でそう言うといつも通り頭を撫でてくれる。
少しホッとして震えが小さくなっていく。
「玄関だったら怖くない?我慢できる?」
そう聞かれ、あぁ、放置されるのかな。と思う。
前も、放置され続けて、寒くて怖くて、気を失ったことがあった。
あれは確か1週間くらい放って置かれたんだっけ。
でも、今だって俺が家に入れないのが100%悪い。
遊は気を使ってくれているのだから感謝しなきゃ
「ちょっと待っててな」
そう言うと遊はいなくなってしまった。
右膝を抱え顔を埋める。
「…翠、大丈夫?」
いつの間にか遊がたくさんのお布団を持って戻ってきていた。
「…遊、」
「んー?」
「なに、…してるの?」
遊は戻ってくるなり玄関を上がった先にある廊下に布団やクッションを置いている。
「ここまでだったら来れるかなーって」
「?」
「頭に?浮かんでる。入れないなら無理に部屋に入らなくていいよ。でも、そこ寒いだろ?ここまではおいで?」
いつも通りのあの優しくてかっこいい笑顔でそう言われる。
でも、俺があんなたくさんのお布団やクッションの中に入るのは申し訳なくて出来ない
「翠、おいで?」
「…で、でも」
「翠のために一生懸命準備したんだよ?」
と、困ったように笑い おいで。と言われる。
そっと遊に近づく。
「あと、4歩。3歩。2歩。…」
なんだか楽しそうな遊。
頑張って歩く。
「いい子」
お布団に届いた時、そう言って抱きしめ、撫でてくれた。なんだか嬉しくて抵抗はせず、じっとしていた。
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