アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
病院
-
「翠?どうした?」
「ぁ…だ、大丈夫……」
「…震えてる。 怖い?」
「…なんでも、ない」
自分の手をぎゅって握って早く震えが止まりますようにっておまじないをかける
でも痛かったな怖かったなって思うとなかなか震えが止まらない
「別に急かさないよ。大丈夫」
遊をちらっと見れば優しい笑顔で手を握ってくれて、こんなに怖いのに遊の手はこんなに温かい
「俺がついてる」
怖いことなんて何も無いって頭を撫でられて本当に大丈夫なんじゃないかって気がしてくる
「行けそう?」
そう聞かれ、ちゃんと頷く
今度は動いた。
車を降り、遊につかまりながら頑張って歩く
院内に入るとやっぱりあの時と同じ匂いがした
消毒みたいな、湿布みたいな不思議な匂い
「こんにちはー」
通り際に知らない人に声をかけられどきっとする
「ぁ…ぅ、」
うまく声がでなくて遊をつかむ手に無意識に力がこもる
「こんにちは」
遊はその人に こんにちは ってかっこいい笑顔で返す
すると、俺を見てから
「その子だーれ?かわいい!何歳?名前なんていうの?髪の毛水色だ!」
どんどん近づいてきて、目の前まで来る
「ぇ…ぁ、」
突然近くに来られることも、大きな声で色々聞かれることも怖くて膝から力が抜ける
カクンと座りかけた俺を遊は支えてくれた
そのまま抱っこをしてくれる
「大丈夫か?」
遊は優しいからいっつも大丈夫?って聞いてくれるけど、せっかく連れてきてくれた遊のお仕事場で、こんなに迷惑をかけていることも、あいさつができなかったことも申し訳なくて、じわっと目元に涙が浮かんだ
それに気づいてほしく無くて目をこすった後に遊の肩にぴったりくっついた
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
93 / 535