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牧由貴と云うひと
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牧由貴(まきよしたか)。
字面だけでなくその容姿まで性別の判断を迷わせる雰囲気を纏う、黒髪の男。細身の煙草を挟む指先は爪先まで整っていて、伏せられた睫毛は同性の自分から見ても羨ましいくらい長い。
「……牧さん」
「……、……ん……」
「『ん』じゃなくて。その書類、急ぎだって言われたじゃないですか」
「……ん」
「…………聞いてます? 牧さん」
火の点いたままの煙草を高価な絨毯に落としそうになるのに内心ヒヤヒヤしながら、そう声を掛ける。
聞いてるよ、と応えるも一向に作業をする気配がない彼は、ひとつ息を吐いたかと思うと、辛うじて開いていた目を閉じた。
「ちょっと、牧さん、駄目だってば。起きて」
「…………むり、眠い。寝る」
「っ、あぁもう、寝るならちゃんと仮眠室で寝てくださいよ」
「……うごけない……」
うー、と成人男性らしからぬ幼い呻き声をこぼしながら今目の前でゆらゆらと抗えない眠気に舟を漕いでいるそのひとは、この辺りでは知らぬ者はいない"化け物"……らしい。
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