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はじめまして。
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ーーーその少年と出会ったのは2週間ほど前のことだ。
(マジか……)
その日俺はたまたま打ち合わせの帰りで、徒歩で帰宅をしていた。
するとポツ…ポツ…と雨が降りだし、その上 土砂降りになってしまったものだから、仕方なく近くのコンビニに寄り傘を買うことに。
(結構濡れちゃったな…)
雨の日は憂鬱だ。
雨が降ると昔から禄なことがない。
今日だって本当なら晴れのはずだったのに、よりによって歩きの日に限って降るのだから。
(はぁ……ほんとついてないな…)
俺は適当にビニール傘を引っ掴むと、ホットコーヒーとガムと『ハムけつ』と書かれたパン等も手に取りレジへ向かった。
ピッ、ピッ、ピッ、…
「…?」
すると、どういうことか会計をする店員の手が止まり、『ハムけつ』を手にしたまま身体をプルプルと震わせ始めた。
「?あの……、っ!?!?」
訝しげに思い彼の顔を覗き込んで、俺は思わずギョッとしてしまった。
店員…恐らくアルバイトだろう赤い髪をポンパドールにしたその少年は、しゃくりあげながらボロボロと涙を溢しているではないか。
「えっ、だ、大丈夫ですか!?」
「うぇッ…は…」
「は…?」
「ハムぅ~!!!」
そう叫ぶと、少年は更に本格的に泣き始めてしまった。
「は、はむ???」
「あっ!!もぉ~またぁ~?バイト君大丈夫~?」
突然の出来事に唖然としていれば、店長と書かれた名札の男性が「もう今日いいから帰んな」と言って少年をバックヤードへと連れていった。
「お客様、大変お待たせ致しました。ご迷惑お掛けして申し訳ございません。」
「あぁいえ…俺は別に…。それより、彼大丈夫ですか?」
「あー…いや、飼ってたペットが最近死んじゃったらしくて、ここのところずっとあんな調子なんですよ。」
「あぁそれで…」
ハムってハムスターのことか。
あれじゃ仕事になんないよ全くも~…店長はそう呟きながら手際よく商品を袋に詰めていく。
(そっか…死んじゃったのか……)
俺はその様子を眺めながら何とも言えない感情を抱き未だ降り続く雨の大きな音を聞いていた。
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