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プロローグ
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暗闇の中ひたすら走る。
走るというよりか、無我夢中で足を動かしている状態だ。
「っはぁっ…はぁ…」
息が上がり呼吸が乱れる。
裸足のため足は既にボロボロで血が滲み地面を汚した。
体力のない僕はヨロヨロになりながらも走り続けていた。
もう嫌だ…
戻りたくない…
あんな場所に戻りたくないっ!
「った…助けて…」
掠れた声で言った僕の言葉は誰にも聞こえることは無い。
しかし、誰かに気付いて欲しくて必死に声を出した。
誰でもいい…
誰でもいいから助けて…
『玲依(レイ)、好きだよ…大好き』
頭に残る凛とした声に体が震える。
思い出したくないのに…
いつも、いつも囁かれた言葉は僕の中から消えることなんてなくて何度も再生された。
『愛してるよ。玲依…玲依も、そうだよね?』
嫌だ…
嫌だっ……
思い出したくないっ…
もう嫌だ!!
体に限界がきたのか膝がガクッと落ちて叩きつけるように倒れ込んでしまった。
その際、顔や体を強く勢いよく打ち付けたようで、呻きを上げる。
「助けて…誰か…」
無理やり体を動かそうとしても、動かない。
このままじゃ追いつかれちゃう…
怖い。
嫌だ。
身体が思うように動かずパニックを起こし、呼吸さえも苦しくなる。
もうこのまま僕は死んでしまうのだろうか?
でも、それでもいいかもしれない…
あの人からも逃げられる。
何より僕は、イキルイミナンテナイ。
意識は徐々に薄れていく。
もういっそこのまま
シンデシマイタイ…
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