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高校生になりました 2
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春輝さんと一緒に車に乗り込む。
「ちゃんとシートベルトしてね」
返事を返しながらカチッと音を立てシートベルトを締める。
それを確認してから車は出発した。
「近くの道で降ろすから玲依は門まで1人で歩いて行ってね。門に行けば副会長が待っているはずだから、その人に理事長室に送ってもらいなさい」
「…はい。分かりました」
独りは心細いけど、春輝さんに迷惑をかける訳にはいかない。
ドキドキする胸を押さえながらフッと息を吐いた。
「そこまで緊張しなくて大丈夫だよ。でも玲依とっては、初めてのことだらけだもんね」
そう、今日は初めてのことをたくさん経験する日。
何故なら今日から高校生に、美門学園の生徒になるのだ。
この美門学園は春輝さんが理事長の学園でもあり、
心配することはないと言ってくれたが、緊張する。
「玲依なら大丈夫だよ」
いつの間にか学園の近くに着いていたようで、車が停められる。
本当は4月に新入生と一緒に入学をする予定だった。
しかし、玲依は緊張からか体調を崩し入学を一時断念した。
今は、夏休みが終わり新学期になる変わり目。
入るなら今だと思い制服に身を包んだのだ。
「玲依、そこの角を左に行けば門だから。行ってらっしゃい」
緊張がピークに達して硬直していれば、
後部座席に身を乗り出した春輝さんは僕のおでこにチュッとキスをした。
これは昔から春輝さんがしてくれる緊張しないおまじない。
「行っておいで。玲依にとって、きっと素敵なことがたくさん待ってるよ」
軽く頭を撫で、優しく微笑む春輝さん。
おまじないの効果もあってか、少しだけ緊張が和らぎ、僕は意を決して車から降りる。
「…はい。では、いってきます春輝さん」
手を小さく振ってバイバイしてから門に向かって歩きだした。
___。
背を向けて歩いて行く小さな背中を見ながら春輝は、
「……玲依もとうとう独り立ちか」
そんなことを言いながら涙ぐんでいたのだった。
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