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高校生になりました 4
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理事長室の前まで来れば、またもや大きな扉を見上げた。
綺麗に装飾されていてキラキラと輝く扉。
「では、私はここで」
副会長さんは、綺麗にお辞儀をして僕に背を向けて歩いて行ってしまう。
その背に僕は慌てて声を掛けた。
「あのっ!ありがとうございました。それと…」
副会長さんは僕の声に振り返り、首を傾げた。
「無理に笑わなくてもいいと思いますよ…?」
さっきの笑顔の違和感はそれが作り笑いだったから。
それは張り付けられたような仮面のように思えた。
目の奥が笑っていなかった。
綺麗だけどそれはちょっぴり怖かった。
「…お礼はいりませんよ。櫻野さんは面白い人ですね」
僕の方に歩きながらそう言う副会長さんは、
眼鏡を慣れた手つきでクイッと上げ、僕の頭を撫でた。
「このことは誰にも言ってはいけませんよ」
くすぐったそうにして笑うその瞳に怖さは感じなかった。
これは本物だ…
僕は嬉しくて頬を緩ませる。
「分かりました」
「では、今度こそ私は失礼しますね」
「はい。本当にありがとうございました」
ペコッと頭を下げれば、またも副会長さんは再度、僕の頭をなでなで。
副会長さんの手はひんやりしていて気持ちいい…
離れがたくて、手にすり寄ってしまうのは仕方のないことだ。
「…可愛い方ですね」
「…何か言いましたか?」
「いえ、何も」
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