アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
309
-
「………」
「翼?」
「………」
「翼、どうした?」
んー?
って、ん?
「うわぁっ!」
ちょっ…。
いきなり目の前にあったどアップの美貌に、ドキドキドキドキと心臓が暴れた。
「何をぼんやりしている」
クチュッ、と握られた中心が、やけに敏感で、まるで直に触れられているみたいな…。
「って、えぇっ?ひ、火宮さんっ?」
い、いつの間に、ズボンを脱がされていたんだろう。
しかも下着まで半分以上もずり下げられているし。
「何を驚く。……翼、疲れているのか?」
スッ、と俺の中心から手を離した火宮が、心配そうな目をして俺の顔を覗き込んできた。
「っ、いえ…」
そうだった。
今日は珍しく、お仕置きも意地悪もなしに、普通になんか求め合って、普通にベッドに移動してきたところだった。
いざベッドに押し倒されて、さぁやるぞ、というところで、ついなんだかぼんやりと考え事に沈んでしまい…。
「クックッ、生ぬるいやり方では、物足りないか?」
「っ、そうじゃなくてっ…」
淫乱、と囁かれる美声に、ズクンッと身体は快感に震える。
「では学校で何かあったか?」
「っ…」
あった、といえばあった。
今日の放課後、委員会で感じた奇妙な視線。
敵意でも悪意でもないけれど、無視するにはあまりに確かな、けれどそれがなんなのかはまったく確証のもてない、不可解で気になる視線を感じたあの出来事。
「翼?」
「っ、いえ。授業に委員会に予習復習と、少し疲れているかもです」
火宮には…言わなくていい。
俺ですらまったく意味が分からなくて、しかも実質的に何かがあったわけでもないのだ。
なんか見られてる。というだけで、ただでさえ多忙な火宮を悪戯に煩わすことはしたくなかった。
「そうか?まぁ1週間経って、慣れてきた頃だし、緊張で気づかずに溜まっていた疲れが出てきたのかもな」
今日はやめるか、と、柔らかく笑って頭を撫でてくれる火宮の手が、とても温かい。
「っ…や、です」
「ん?」
「っ、やめ、ないで…くださ…」
そうだ。
あんな視線のことなんて気にすることなんかない。
きっと、なんでもないんだ。
ちょっと見られていたくらいで、何があったわけでも、何があるわけでもない。
忘れよう。
気にするのなんて馬鹿馬鹿しい。
だって今は、目の前に大好きな恋人がいるんだから。せっかく久々に、なんだか穏やかに抱き合うところなんだから。
「火宮さんは、シたくないですか?」
頭に触れていた手をスルリと取って、その指の間にチロチロと舌を這わす。
「ッ、おまえはな」
「ふふ、俺はシたいです」
チュゥッ、とわざと音を立てて、火宮の指を吸う。
「クッ、どこで覚えてくるんだ」
悪い子だ、と耳元で囁かれる声が、ズクンッと性感を刺激する。
「あ、なたが、教えてくれるんです。火宮さんが欲しい。ただそう思うだけで…」
勝手に身体が動くんだ。
「ククッ、可愛いことを言う。本能で、天然の妖艶さだというのか。魔性だな」
そそられた、と吐息とともに吹き込まれた声が、ゾクゾクと全身に巡って、その熱が1点に向かって集中した。
「んっ、アッ…」
「クッ、触れてもいないのに」
っ、俺、勃って…。
「俺を欲しがるその姿がたまらないな」
「あっ、あっ、火宮さっ…さ、わって、俺をっ、いっぱいにして…」
ふらりと伸ばした手で、ぎゅぅ、と目の前の逞しい身体にしがみつく。
「ふっ、言われなくとも。何も考えられないくらい、めちゃくちゃに感じさせてやる」
ギラリ、と妖しく光った火宮の目が、真っ直ぐに俺を射抜く。
囚われた、と思うのに、全身を満たすのは紛れもなく快感で。
「あっ、火宮さっ…刃。じんっ」
ぎゅぅっ、としがみつく身体がきつく抱き返され、伝わる体温にホッとする。
その安らぎが何を意味するのか。
わけも分からずに、俺は本能に突き動かされて、ぎゅぅぎゅぅと火宮に抱きつき、その熱を求めた。
火宮と1つになりたい。
火宮に抱かれたい。火宮でいっぱいに満たされたい。
それが「不安」からの行動だなんて、誰が思うだろう。
今、火宮を求めて、火宮の熱を焼き付けておかないといけないと、無意識の中で感じている俺は…。
「あっ、アッ…ひ、みや、さっ…刃ッ」
チカチカと瞬く視界の端に、何か。忘れてはいけない何かが揺れた気がする。
けれど襲いくる快楽の波はすべてを飲み込み、噴き上がる白濁が考えることをやめさせる。
「あ、あぁっ、刃。じんー」
「クッ、翼…愛してる」
幸せだ。
このとき俺は、確かに幸せだった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
310 / 781