アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
376
-
そうして、打ち上げに終わりまで参加した俺が、盛り上がった気分のまま、帰宅した室内で。
「ッ…ぐ、う、申し訳ありませんっ、申し訳…」
ドガッと火宮に蹴り飛ばされて床に蹲った浜崎が、土下座のように頭を床に擦り付けていた。
「ちょっ、火宮さんっ?!」
火宮の背中越しに見える手酷い光景に、身体が震える。
一緒に部屋まで上がってきた真鍋は、これを見て、なんで止めに入らないのだ。
「っ…」
また一歩、火宮の足が浜崎に近づき、その腹を横っ腹からガツッと蹴りつけた。
「うぐぁっ、すみませんっ、会長ッ。本当に申し訳っ…」
「なんのためにおまえを翼につけていると思っている」
ズシン、と物理的な重力さえ感じる、火宮の低い声だった。
「それをみすみす、翼がトイレに入ったのを見逃した挙句、怪しい男に接触させただと?」
「ッ、申し訳ありませんっ…」
「ナメてるのか」
ギロッと浜崎を見下ろした火宮の視線は、それだけで人を殺せそうなほど鋭い。
「ッ…」
ゴツ、と額を床に押し付けた浜崎が、ぐっと黙り込む。
どう、しよ…。
ここで俺が庇ったら、浜崎の立場はもっと悪くなるだろうし。
火宮の世界のやり方に、俺が横から口出しするわけにもいかない。
オロオロと戸惑った俺は、ふらりと視線を彷徨わせ、それがたまたま真鍋の目と合わさった。
っ…なんとかして下さい。
願うように真鍋を見つめる。
あなたが最後の頼みの綱だ、と見つめる視線の先で、ふぅっ、と息を吐いた真鍋が、スッと1歩動いた。
「会長」
「なんだ」
「後は私の方から、きっちり言い聞かせておきます」
「ふん」
冷たく鼻を鳴らした火宮が、ギロリと真鍋に視線を移す。
「今回の浜崎の失態の一因は、私にもないとは言い切れませんので」
「ハッ、おまえがたまたま、翼が手洗いに立ったタイミングで、浜崎に電話をかけたことを言っているのか」
「そうですね。それが、浜崎が護衛対象から目を離していい理由にはなりませんが、私が、後ろがうるさい、と文句を呟いてしまったことで、浜崎が気を回したせいでもありますので」
スッと頭を下げる真鍋の言葉に、火宮がハッと鼻を鳴らした。
「おまえが庇うか」
冷たい火宮の声を受けて、真鍋がチラリと俺を見た。
「クッ、いいだろう。後はおまえに任せてやる。きっちり教育し直しておけ」
「はい」
「浜崎は当分、翼の世話役から外す。護衛もだ」
「かしこまりました」
ふっ、と火宮のピリピリとしていたオーラが和らいで、俺もようやくホッと息がつけた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
377 / 781