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「ククッ、辛そうだな、翼」
「っ…」
当たり前だ!バカ火宮っ…。
くぅっ、と背中を丸めて絶頂をやり過ごし、必死で快感をはぐらかす。
「クッ、許して欲しいか」
「っ…」
それはもちろん。
「ん?翼?」
コクコクと頷きながら、そろりと後ろを振り返った俺は。
「っーー!」
そうか。そういう魂胆か。
許して欲しければ媚びて強請って火宮を納得させろ、って。
言われはしなくても、その悪い顔と意地悪な目が語っていた。
「んっ、ふ…」
あー、いいですよ。やってやりますよ。
ツンと開き直った俺は、目の前のベッドに手を突っ張り、ソロソロと上半身を起こす。
「っ…」
火宮も特に押さえつけてくる様子はなく、俺はそのままするんと床に降りた。
「んっ、俺が、好きなのも」
そっと火宮の足の間に座り込み、ズボンの前に手を伸ばす。
「っ、俺が、こんなことをするのも」
カチャカチャとベルトを外し、ジーッと下ろしたチャックの中から、下着をずらして火宮の性器を取り出す。
「ん…あなただけです、火宮刃」
ズシリと手の中にある、萎えていても大きな性器にそっと唇を寄せる。
「クッ」
「あれは、藍くんを助けるために仕方なく」
「………」
「だから…。特別なのは、あなただけ」
恐る恐る開いた口で、ぱくんと火宮の性器を咥える。
「んっ、ふっ、ぁ…。らから」
「ッ…」
「ほへはい(お願い)」
ペロペロと、火宮の性器を舐めながら、チラリと火宮を見上げて。
「はいへふらはい(抱いて下さい)」
ググッと口の中で角度をつけた火宮自身に嬉しくなりながら、必死で奉仕する。
「んっ、ハッ、お願い。刃。バイブはいや…。これで、シて?」
ツゥーッと付け根から先端までをいやらしく舐め上げ、チロチロと先っぽで舌を動かせば、「ふっ」と笑った火宮が、ギラリと欲情を露わに俺を見下ろした。
「あ、んッ…お願い、刃。これ、ちょーだい」
チュッ、と性器に口付け、にこぉっと、精一杯の媚びた笑顔を向けて、甘い甘い声を出す。
「じんー」
疼く後ろにモジモジとお尻を振ってしまったら、火宮からぶわっとむせ返るような妖しい色香が立ち上った。
「クッ、おまえは…」
「っ?刃?」
「演技もいいが、無意識の痴態がよっぽどそそる」
「え…」
「ククッ、俺にだけだな?」
ニヤリ、と浮かぶ、満足そうな笑みがゾクゾクする。
「おまえが本気で誘うのも、こんないやらしい姿を見せるのも」
「当たり前です」
本城にしたのは演技。みんなの前でやらなかったのは、あなた以外に見せたくないから。
「だって、あなたにだけは、本気だから」
その姿は、火宮だけが見ればいい。
「ククッ、おまえは本当に。上出来だ、許してやる」
「っ!」
「止めていいぞ」
「え?」
「自分で抜け」
「は?」
こ、こ、この人はぁぁっ!
最後の最後まで意地悪し抜くその性根に乾杯だ。
「そうしたら俺の上に跨がれ。思う存分抱いてやる」
このどS!
「ふ、んっ、だ」
あぁやりますよ。
やってやりますとも。
だってその顔。
愉しくて楽しくて仕方がないと語る目の奥に。
愛おしくて愛おしくてたまらないって、しっかり書いてありますから。
「ンッ…」
そっと後ろに伸ばした手で、カチッとバイブのスイッチを止め、ぐっと持ち手部分を握り締める。
「っ、あ、ぁぁ…」
ズルッとバイブを引き抜きながら、ニィ、ッ、と火宮に挑戦的な笑みを向けてやったら…。
ぶわぁっ、と、妖しい色香を増した火宮が、ギラリと欲情に濡れた瞳を向け返してきた。
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