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あぁ、あぁそうか。
豊峰たちは。
家族を愛して、家族から愛されて。
それができないから、こんなにも苦しんでいるんだ。
豊峰も、豊峰のお父さんも、ただ根本的に、それが解決したならば。
「っ、これは…」
互いを愛したらいい、と言っても、それができていたらこんなにこじれなかったわけで。
「翼?」
「っーー!藍くんっ」
「な、なんだよ、急に」
思わず大きな声を出してしまった俺に、豊峰がビクッとしている。
「藍くん!藍くんには、俺がついてるから」
「は?」
「うん。そう。俺の強力なバックもさ、ついてるし」
俺の望みとあらば、迷わず味方してくれる頼もしい後ろ盾様たちがいる。
「だから、ね?俺は、藍くんの、親友だから」
何があっても味方だよ。
どんなことになっても見捨てないから。
いくらだって力になる。
『親友』という2文字に、ありったけの想いを込めた俺に、豊峰が、キョトンとした後、ようやくいつもみたいに、にぱっと笑った。
「いきなりわけが分かんねぇけど、なんかさんきゅ。ちょっと元気出た」
「うん」
「俺はまだ、どうやってあの家と親父に立ち向かっていけばいいか、はっきりとは分からねぇけど…」
「うん」
「おまえとか、おまえの味方のあの方たちとかが後押ししてくれるなら、頑張れる気がする」
「ん。俺に出来ることがあれば、なんだってする」
だから頼って、と、強く豊峰の手を握り締めたら、豊峰がへへっ、と照れくさそうに笑った。
「そっか。見た目可愛こちゃんなのに、おまえは本当に強いよな。やっぱ会長サンの見る目はあるわけかー」
「はぁっ?」
「怒んなよ。褒めてんだぜ。頼りにしてるよ」
「う、まぁ頼ってもらえるのは嬉しいけど」
その前の発言たちはどうかと思う。
「んじゃぁ、俺はそろそろ。会長サンちにいつまでも長居しているのもあれだし。下に帰るわ」
「あ、うん」
じゃぁな、明日学校で、なんて颯爽と去って行く豊峰が、ふと玄関のドアの前で振り返った。
「翼っ」
「ん?」
「俺もおまえを、親友だと思ってる」
早口で言われた言葉に、はっ?となった俺を残して、豊峰がパッと素早く玄関扉の向こう側に消えていく。
「っ!それって」
扉の隙間から最後に見えた豊峰の耳が、少しだけ赤くなっていた。
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