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真鍋から受け取ったテストを、そっと見下ろす。
ひたすらに赤丸がついているのが見えるそれの、得点欄。
「よっし!満点」
「はぁっ?まんて…っ、おまえアホか!」
俺の呟きに、ひょいっとテストを覗き込んできた豊峰が、クラリとしたように一歩足を引いた。
「いや、アホって…」
「アホだろ。こんなクソ難しいテストで満点とか」
信じらんねぇ、と頭を振っている豊峰のテストは、それでも丸がついているのがかなり見える。
「そういう藍くんも、そこそこ取れているじゃない」
その『クソ難しい』テストで、半分取れれば、本番は7割、いや8割はいくんじゃないだろうか。
30位以内は夢じゃない。
「そこそこったって、半分近くは間違えてる」
「ラストスパートでそこを強化すればいいんだよ。そのための確認テスト」
ですよね?と真鍋に向けた目に、鬼家庭教師様の顔が、ゆっくりと上下した。
「その通りです。お2人とも、かなり定着はしたと思いますが…豊峰の若は、少し複雑になった言い回しや文章問題、国語も数学もその辺りが弱いな」
「う、そうです」
「翼さんは、上の2枚はいいでしょう。ですが最後の1枚」
国語、数学の満点をどかして、英語のテストを見下ろした手が震える。
「8割…」
「あなたは少し捻った問題になると途端に引っかかりますね」
「げ。あ、これ、ひっかけか…まんまとハマった」
「直前の文章に気を取られすぎなのです。もっと前の…この部分に注目してから読解なさって…」
さっそく間違えた箇所の解説をしてくれる真鍋に、ふんふんと頷きながら、俺はこの感じなら1位もあり得るかもしれないと、自信が湧き上がってくるのを感じていた。
「では、お疲れ様でした。明日は理社の確認テストをいたしますので」
そのつもりで復習を、と言い残し、真鍋が帰って行った。
今日は疲れた、という豊峰も、今日は真鍋に続いてすぐに、教科書類をまとめて下におりて行った。
「ふぅ。確かに疲れたなー」
1人になったリビングで、俺は大きく伸びをしながら、そのままバタンとソファに倒れた。
LEDの明るい室内灯が眩しくて目を閉じる。
『俺は俺のために、俺の人生を生きるんだ』
力強く紡がれた、豊峰の声が耳に蘇る。
「真理、だよね」
いつか俺も、火宮にそう誓った。
『刃っ!俺は、俺の人生を、精一杯生きさせてもらいます』
幸せになれ、と命じてくれた火宮に対して。俺は俺の将来を決めた。
「藍くん、頑張れ。がんばれ…」
俺は医者に必ずなる。
だから豊峰も、必ず必ず自分の人生を掴んで欲しい。
呪文のように繰り返し呟きながら、俺はいつの間にか、そのままスゥッと眠りに落ちていたらしかった。
次にハッと目が覚めたときには、火宮の美貌が目の前にあって。
「どうした?翼。こんなところで寝ていると、風邪を引くぞ」
「っーー!」
試験前だろう?と笑った唇が、寝起きで無抵抗の俺のそれに重なった。
「ククッ、だから、目くらい閉じろ、ガキ」
あぁなんて懐かしい。
出会ったその日に言われたその台詞。
「火宮さん…」
始まりのあの日。
そこから辿り着いた今。
「火宮さん、もっと…」
軽いキスでは物足りない。
もっと深く、もっと舌も絡めて、俺を貪りつくして欲しい。
自らゆらりと両手を持ち上げ、火宮の首の後ろに回して美貌を引き寄せる。
「ククッ、どうした。真鍋にしごかれて疲れているのではないのか」
「んッ…」
「クッ、今回のテスト、1位を取るつもりだそうだな」
あぁもう聞いているのか。
キスの合間にしゃべる火宮の言葉に、コクンと頷く。
「しかもなにやら、友人と賭けをしているとか?」
「っ!ぷはっ、え?」
ちょっ…豊峰か。
「負けたらペナルティ、だそうだな?一体何をされられるか知らないが…」
ニヤリ、と弧を描いた口元が、キスの余韻で艶めかしくつやめいているのが色っぽい。
「俺以外の男から、間違っても罰など受けるなよ?」
それがゲームでも、大した内容ではなくても。
「翼に仕置きをするのは、俺だけの特権だ」
「っ、相変わらず、どんだけの独占欲ですか」
「クックックッ、どれだけ、か。教えてやろうか?」
っ!
やばい、これ。
スコップどころか、掘削用ドリルも真っ青な勢いで、墓穴を掘り下げたやつだ。
「っーー!失言!知ってますっ。あなたの独占欲の強さは、嫌というほど、よくっ…」
だから今更改めて教えてくれなくていいーっ!
ダラダラと冷や汗を流しながら、ブンブンと首を振って後ずさった俺に、火宮の美貌が迫ってくる。
「ふっ、そう遠慮するな。今夜はたっぷりじっくりと、その辺りを教え直してやる」
身体にな、と言外に聞こえた、そのサディスティックな笑み。
「ひぃぃ…」
「ククッ、嬉しいだろう?なにせおまえのここは、今のキスだけでもう…」
期待に頭をもたげている、と囁かれながら、むにむにと揉まれた中心に、カァッと頬っぺたが熱くなった。
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