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「ふぁぁっ。なんか、一生分の楽しみをもらっちゃった気分です」
火宮との部屋に入り、ぼすんっとベッドに飛び乗った俺は、にこりと笑って火宮を見つめた。
「ククッ、大袈裟だな。だが、そんなに喜んでもらえてよかったよ」
「はい。すごく楽しくて、嬉しくて、幸せで。俺はどうしたらいいんでしょう?」
コテンと首を横に倒したら、火宮がクックッと喉を鳴らして、薄く目を細めた。
「おまえはおまえが感じるまま、そうやってただ俺の隣で笑っていればいい」
「んもう。またそうやって甘やかす」
ジタバタと悶えたら、ガサッとベッドの上に置いた白いバラの花束が音を立てた。
「あ。後で花瓶をもらって来なきゃ」
「クッ、真鍋にでも言って、適当に生けさせればいい」
「駄目ですよ。俺がやります。だって、火宮さんからもらった大事な贈り物ですもん」
花束なんて、キザで恥ずかしいと思うけど、火宮がくれるものは、なんだって俺には宝物だから。
「ククッ、おまえは、本当にな」
「え?あ、そうだ。ねぇ、火宮さん」
「なんだ」
「そういえば、今まで聞いたことなかったなー、って。すごく今更なんですけど…」
そろりと上目遣いで窺う俺に、火宮の目が不思議そうに揺れた。
「なにをだ?」
「えっと、誕生日」
「は?」
「火宮さんのお誕生日。まさかもう過ぎちゃってるなんてことは…」
本当に今更過ぎる質問を放った俺に、火宮の顔が完全に虚を突かれたものになった。
「俺の誕生日…?」
そうか、言ったことはなかったか、と呟いている火宮に、コクコクと頷く。
「何月何日ですか?」
興味津々でワクワクと尋ねたら、大した日じゃないぞ、と言いながら「11月24日だ」と教えてくれた。
「11月生まれ!」
「なんだ」
「いえ。ただなんか、そうなんだーって」
「ククッ、なんだそれは」
可笑しそうに目を細める火宮だけど、火宮のことを新しく知れるのはただただ嬉しい。
「それに、過ぎてなくてよかったです」
11月なら、これから祝ってあげられる。
「ククッ、なんだ。祝ってくれるのか?」
「当たり前です」
俺にだって、過ぎてしまってはいたものの、こうして花束とかクルーズとかディナーとか、嬉しい贈り物をしてくれたんだもん。
「そうか。ならばリクエストは…」
ニヤリ、と口角を上げた火宮の、妖しい目に気づき、俺はパッと表情を引き締めた。
「は、裸エプロンとかっ、自分にリボンをかけて俺がプレゼントとか…あっ、1日中エッチ三昧とか、しませんからねっ」
火宮が言い出しそうなことなんて、絶対にその辺りだ。
思いつくまま、いくつか上げて先に否定した俺に、火宮の妖しい笑みが深くなった。
「ほう?それは振りか」
「はぁぁっ?んなわけっ…」
だから、どうしてそうなる。
「ククッ、おまえの希望なんだろう?」
「だからっ、そんなわけがっ!このエロおや…っととと」
やばい。
またつるんと滑りかけてしまった俺の口。
慌てて両手でガバッと押さえた俺は、ヘラリと笑って火宮を見上げた。
「エロおやじ、ね?」
「っーー!言ってませんっ」
最後までは、ってだけだけど。
「ククッ、言ったも同然だろう?」
「違う。全然違います」
「じ」があるのとないのじゃ全然。
「屁理屈だ」
「そんなことは」
「往生際が悪いぞ」
「だってさっき散々…」
クルーザーの中で、えっちとか、えっちとか、えっちとか…かなりヤりまくってきたばかりじゃないか。
もう無理だって!
「悪いのは誰だ?」
「それは…」
「恋人をつかまえて、エロおやじだ?」
「う、だからそれは…」
ニヤリ、とサディスティックに笑う火宮に、俺はタジタジとベッドの上を後退る。
「ん?翼?」
ニィッと完全に愉悦に揺れ、綺麗に弧を描いた火宮の目に見つめられた俺は、その場でピシッと固まった。
「仕置きだな」
ニヤリ、と艶やかに笑みを浮かべた火宮の美貌に、ゾクッと背筋が震えた。
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