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「くっ、やめろと言いながら、身体はそうではないようだぞ?」
引き剥がそうとした頭を逆に抱え込んでしまったことを揶揄われ、羞恥に体が熱くなる。
「ウッ、アァッ…しゃべっ、ない、で…」
「イキそうか」
火宮が言葉を紡ぐ度、微妙な振動と刺激が快感に直結する。
「やっ…ダメ、出ちゃ…う」
筋を舐められ、先端の割れ目に舌が押し付けられた。
「いっ、アァッ…もっ、イッちゃ…」
「いいぞ。出せ」
「っな、ダメッ…や、ぁぁっ!」
口を窄めて一際強く吸い上げられ、俺はたまらず精を吐き出した。
「うそ…」
口で全てを受け止めた火宮が、迷わずそれを飲み込んだのを見てしまった。
チラリと唇を舐めた赤い舌が、あまりに妖しくて艶っぽくてクラクラしてくる。
「ふはっ、ハァ、ハァ…」
射精の余韻で息が上がる俺を、火宮が目を細めて見つめている。
俺だけっ、こんなに乱れて…。
上半身の衣服は肌蹴て、腕にかろうじて引っかかっているだけ。
下半身のズボンと下着は、ジタバタもがいたせいですでに脱げ落ちていた。
反して火宮の方は、ネクタイこそ外しているが、まだピシリと決まったダークスーツのまま乱れはない。
「火宮、さ、んも…」
自分だけが浅ましく乱れているのが嫌で火宮に伸ばした手は、途中で捕らえられてしまった。
「脱がせたいのか?」
「え…」
「ならば可愛らしく強請ってみろ」
絶対的支配者の顔をして、サディスティックに笑う火宮の口元が見えた。
この人、どSだ…。
火宮の言動にいちいち惑い、最終的に思い通りに従う俺が、楽しくてたまらないといった様子で笑う。
意地悪だ、意地悪だとは思っていた。
愉悦を浮かべて妖しく光る瞳が、俺を捕らえて、挑発的に眇められる。
「どうした?俺にも肌を晒させたいんだろう?」
「ッ…お、願い…」
本当は、ただの所有物に対して、素肌を合わせたいとは思っていないのかもしれない。
「ンッ…お願い、火宮さん。脱いで?」
だけど、1つだけ我儘を言わせて下さい。
ただの性欲処理のセックスなんだとしても、勘違いだけさせて。
初めての、この1回だけでいいから、犯されているんじゃない、抱かれてるって思わせて。
「これ、邪魔なの」
スルリと火宮の手から逃れた手を、ダークスーツの胸元に這わせる。
何をどうすれば『可愛らしい』のかわからない。
ただ必死で、乾いてしまった唇をペロリと舐める。
「脱がせて、いーい?」
ひたすら必死に願った瞬間、火宮の表情が妖艶に綻んだ。
「ふっ、合格だ」
「ッ…?」
バサリとスーツの上着が放り捨てられる。
手早く外されたワイシャツのボタンの下から、火宮の素肌が露わになった。
大人の色気を放つ、逞しい身体。
無駄のない筋肉がついた、均整のとれた身体が美しい。
「ンッ、ン」
次第に露わにされた下半身の立派さに、唾を飲み込んだ喉が鳴った。
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