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「あっ、はっ、も、許して…」
背中を預けたまま、火宮の頭に手を伸ばす。
「んっ、お願っ、火宮さ…」
首を伸ばして顔だけ振り向かせて、火宮に媚びるようにキスをする。
唇まで届かずに、顎になってしまったのはお愛嬌で。
「ククッ、可愛いおねだりだが、それならちゃんとここにしろ」
愉しげに喉を鳴らした火宮が、ぐるんと俺の身体を返してしまう。
「っ、んっ!」
トンッと背中が窓ガラスに触れて、壁ドンならぬ窓ドン状態で、火宮の甘い口づけが落とされた。
「んっ、ふ…」
舌を絡まされ、吸い出されて、鼻に掛かった吐息が漏れる。
「ん、はっ…」
ゾクゾクと上がる快感に、足も腰も完全に笑っていた。
「ククッ、手を俺の首の後ろに回せ」
「んっ…?」
「片足を俺の腰に絡ませて…そうだ、上手だ」
言われるままぼんやりとその通りに従えば、ニヤリと笑った火宮の軽いキスが落ちる。
「んっ…」
ぐっ、と背中を窓ガラスに押しつけられ、片足を上げた股の間に火宮の手が伸びた。
「なに?」
「ククッ、仕置きは終わりだ。塞いだ尻のを取ってやる」
っ…。
言うが早いか、ズルッと引き抜かれたプラグが、ゴトンと床に落ちた音がする。
「っ、や、あぁぁっ」
排泄にも似た感覚に、倒錯的な快感が湧き、ガクガクと身体が震えた。
「おっと、まだイくなよ?」
「あぁっ、やだ…」
ぎゅっ、と性器の根元を握られて、阻まれた絶頂に、身体が身悶えた。
「やっ、火宮さっ…刃、じんっ」
「ククッ、欲しいか?」
「欲しいっ。欲しい、お願い、いれて」
媚薬に侵された頭が、訳もわからず言葉を紡ぎ出す。自分ではもうなにを言っているのか理解していなくて。
ただぽかりと空いた穴を、火宮の熱でいっぱいに埋めて欲しい。
「ククッ、いい子だ。そのまましっかり掴まっていろ」
「っ、あぁっ!」
ぐっ、と尻たぶを鷲掴みにされ、軽く浮いた身体の下から一気に穿たれる。
思わず仰け反った頭が、ゴンと窓ガラスにぶつかったけれど、その痛みよりもナカを擦り上げた火宮の熱の衝撃の方が強くて気にならない。
「んっ、はっ、あっ、あっ…」
「くっ、翼、少し緩めろ」
「あっ、わかんなっ…もっと、もっと、刃」
ユサユサと、下から身体が揺さぶられ、その度に擦られるナカが気持ちいい。
ハラリといつの間にか打掛は肩から滑り落ち、どう見ても高級品のそれが、ただの布切れになって足元に丸まっている。
「あっ、火宮さんっ…刃!」
不意に、室内の明かりが一気に落とされた。
「っあ!」
お、ちる…。
背中をついた窓ガラスの存在が不確かなものになり、背後を満たす夜景の上に、突然放り出されてしまったような感覚に陥る。
「刃っ。じんっ」
確かなものは、しがみついたこの温もりだけで。
必死で掻き抱く火宮の身体に爪を立てる。
「クッ、翼。いいぞ。イイか?」
「あっ、あんっ、イイ。気持ちい…」
地上を彩る何万もの星の上。
世界の中に2人きり。
まるでそんな錯覚に陥りながら、しがみついた身体の律動に合わせて腰を振る。
「っつ…締まるッ」
「刃。じんっ、いこ…一緒に、いこ…」
あなたと2人ならば、どこへ堕ちても怖くないから。
「ッ、おまえは、まったく」
「っ、イくっ。イッ…」
「ッ、はッ…く」
ズンッ、と奥の奥まで深く穿たれたのを感じた瞬間、ドピュッと中心から白濁が飛び散り、同時にナカで火宮がドクンッと弾けたのを感じた。
「っ、あぁぁぁっ」
「ふっ、ハッ…」
あぁこのイき顔。
好き。大好き。
引き寄せた頭と、近づいてきた顔に唇を寄せる。
ふわりと優しく包み込むキスは、どちらが先に仕掛けたものか。
絶頂から飛び降りた視界には、もう地上の光さえ映らない。
ただ視界いっぱいを満たすのは、大好きな人の大好きな笑顔で。
「愛してる、刃」
にこりと微笑んだ顔は、成功していただろうか。
俺もだ、という囁きが、消え行く意識の片隅に、ふわりと優しく触れて煌めいた。
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