アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
432
-
*
「はぁっ…テスト2日前に抱き潰すとか、本当どS」
翌朝、出勤前の火宮が、コーヒー片手にうろうろしているところで、俺は盛大に愚痴ってやっていた。
「ククッ、途中からおまえだって、もっともっとと強請って足を絡ませて、俺を離さなかったじゃないか」
どっちのせいだ、と笑いながら、火宮が首に引っかけていたネクタイをキュッと締めている。
「っ、だってそれは…」
ペラリと英単語カードをめくりながら、俺はムーッと尖らせた口を火宮に向けた。
「ふっ、まぁうっかり煽られた俺も悪かったか」
「それって遠回しに煽った俺が悪いって言ってますよね?」
「ククッ、賢いじゃないか」
「んもー!意地悪ー」
ま、結果、どっちもどっちってことだろうけどね。
「で?登校はできそうなのか?」
「意地でも行きますよー」
テスト前日に欠席なんて、とんでもない。
「夕方は真鍋の家庭教師か」
「はい。最後の詰めまできっちり見てもらいます」
「そうか。明日からテストだったな」
「はい」
1学期最後の定期テスト。
今回こそは1位を取ってやる。
「ふっ、もし1位を取れたら、褒美に夏休みにどこかへ連れて行ってやる」
「えっ?本当ですか!」
やったー!デートだ。
「だがもしも、1位を逃して、例の賭けで罰ゲームとやらを受けたときは…」
「っ…」
だから、そうやって途中で言葉を途切れさせて、ニヤリと笑うだけなの、ずるい。
その先をあれこれと想像して、勝手に怖くなるんだからっ。
「ククッ、翼?」
「んべぇーだ!絶対に負けませんよ。1位、取ってやりますから。夏休みの予定、空けておいて下さいね」
にっ、と笑って、挑戦的に火宮を見つめたら、「頑張れ」と笑って頭をくしゃりと撫でられた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
433 / 781