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僕らが映画館の中に着いた頃には、もう暗くなり始めていた。
「席どこだっけ」
「確か一番前の端っこだよ」
僕らは小声で席を確認し、静かに座った。
ギリギリセーフって所かな。
そこから映画は二時間程だった。
僕は眠くて途中寝てしまった部分もあったけど、まぁまぁ楽しめたかな?
映画の途中、本当はいけないんだけど何度もスマホをチェックしたのに大貴からは何も連絡は来ていない。
もしかしてわざと連絡してこないとか?
でも最近、家で毎日会っているからか外での連絡をあまりしてくれなくなったと思う。
僕の考えすぎかも知れないけれど。
「優くん、出よ?」
映画のエンドロールが流れ始め、夏恋が席を立った。
「そうだね、出ようか」
僕らは来た時と同様、静かに映画館を出た。
それから僕たちはする事がなくなったので、家に帰ることにした。
「今日はありがとう。すっごく楽しかった!」
夏恋は満足したような笑みを浮かべている。
「こちらこそ、ありがとね」
夏恋を駅まで送り、背中が見えなくなるまで見送った。
僕は家に帰るには早すぎるので、近くのカフェに一人で足を運んだ。
一人で店に入るなんて久しぶりで、ちょっと緊張。
カフェはそこまで混んでなくて、相変わらずいい感じの雰囲気。
明るすぎず、ちょっと暗めの雰囲気で、考え事をするにはピッタリの場所だ。
考え事というのは、大貴の事。
「はぁ、」
思わずため息が零れた。
今日僕は浮気の様な行為をしてしまった。
夏恋と手を繋いだ。これは列記とした浮気ではないか。
大貴は僕の事を信じてると言って見送ってくれたのに、僕はその信用を裏切った。
ただでさえ、今の雰囲気はそこまでいいわけじゃない。別に悪くはないけど。
黙っておけば大貴は分からない。喧嘩になることも、すれ違うこともない。
でも、それは大貴に嘘を吐くということ。
大貴に嘘吐くくらいなら、喧嘩した方がマシだ。
やっぱりちゃんと言おう。
僕はそう心に決めて、残りのコーヒーの一気に飲んで店を出た。
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