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「はー疲れた」
「お疲れ様」
「ありがと」
大貴は相当疲れているのか、そのままソファーに倒れ込んで気付いたら寝息を立てていた。
「大貴こんな所で寝てたら風邪引いちゃうよ」
「んー」
声をかけても空返事で一向に起きてくれない。
寝室からブランケットを持ってきて掛けてあげた。
今日は僕が夜ご飯作ってあげよう。
材料はないから、やっぱり買いに行くしかないか。
だったら昼間に買っておけば良かったなって少し後悔。
僕は大貴を起こさないように静かに家を出た。
自転車で行こうかと思ったけど、今日は歩きたい気分だから徒歩で向かう。
「はぁ……」
帰ってきてもこうやってすれ違うばっかりで、やっぱり僕がいるだけ無駄な気がする。
なんなら、疲れて帰ってくる大貴的には一人で休みたいんじゃないだろうか。
もう明日のうちには出て行こう。
そう歩きながら決めた。
スーパーは近い所にあるので考え事をしている間にすぐ着いてしまった。
何を作るか決めていなかったので、クックパッドで簡単に出来るおかずを調べて、スタミナがつく肉料理にした。
大貴はお肉大好きだから、最後の晩餐って意味も込めて、ちょっと高めの牛肉を買った。
それと、大貴の好きなイチゴも買って、コーラも買って。
後は適当に必要な具材とか色々カゴに入れてレジに持っていく。
安くはなかったけど、今までお世話になったことを考えるとこれくらい容易い御用。
レジ袋を持って歩いて来た道を帰る。
この道は、良く大貴と学校帰りに一緒に歩いた。
あの頃は無邪気に笑って、ただただ楽しくて仕方なかった。
こんな日が来るなんて思わなかったな。
大貴と一緒に住んだ事は後悔してないし、大貴が良いならこれからも住まわせて欲しい。
けれど、一緒にいる時間が長すぎると逆に心は遠くなるばかりだと思う。
会えない時間が愛を育むって言うように、僕らは会えない時間を無理にでも作る必要があるんだ。
「ただいま」
またもや考え事をしていたのですぐ家に着いた。
小さく挨拶し、中に入ると大貴はまだ寝ていた。
「よし、頑張ろ」
大貴が寝てる間に美味しいご飯作って、起こして食べてもらってスタミナ付けてもらわなくちゃ。
僕はクックパッドをもう一度開いて、料理に取り掛かった。
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