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緊急
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「道に迷った。迎えに来い。」
検診に行った郁生から、メールが入っていた。
うわっ!このメール、1時間も前にきたんじゃねーか。
留守番に来て、寝てる場合かよっ!
慌てて車のキーを掴み、飛び出した。
っと!その前に。
一応、どんな所にいるか、訊かねえと捜しようが無いよなぁ。
LINEを開いて、どんな所?ときいてみた。
「ファミレス。」
この近所に、ファミレスなんてあったか?
検診に行った病院は、市民病院だよな。となると、その近辺か?
》》》》》》》》》》》》》》》》》》》》》》》
GPSまでつかって、ようやく探し当てた郁生は、呑気に飯を食っていた。
「あのさ、入院しろって、いわれたんだ。」
「入院?」
「なんかさ、羊水?足りないんだって。」
「それ、大丈夫なのかよ。羊水って、どうやりゃ増えるんだ?」
「それがさ、医者にもよくわかんねーらしい。とにかくしばらくは絶対安静だと。」
「絶対安静?そんなヤバいのか?」
「さぁな。トイレ以外は寝てろって。内職も辞めろって言われた。」
暇をもてあました郁生は、最近、封筒にプリントを詰めるだとか、シールを貼るだとか、そんな内職を始めた。
「暇つぶしとカネ儲け。一石二鳥じゃん?」
子供みたいに喜んでたのに、そんな些細な作業さえ、取り上げられちまうのか。
納得いかないと感じたおれは、医師に話を聞きにいった。
「これは、他の方にも見られる傾向なのですが。やはり、熱中してしまうんですよ。特に一人になる日中ですね。お昼ごはんを食べなかったり、トイレを我慢したり。そんな小さな事と思うような事でも、毎日重なると、躰の負担になってしまいます。」
言われてみれば、たしかにそうだ。
おれがいっても、返事もせずにひたすらシールを貼ってることがある。
仕事にでられないストレスもあいまって、熱中しすぎることもあるだろうし。
一人の時間なら、誰も止めないから、本人が感じてる以上にやり過ぎてる場合もあるに違いない。
「このまま羊水が増えず、胎児が成長した場合、胎児が母体にくっついてしまいます。そうなると、双方に不都合な事態がひきおこされてしまいます。最終的には…」
「っ!センセイ、それ以上言わないで下さい。」
「出来れば、どなたか御家族と暮らされた方が、何かと良いのですがね。…あなた方のようなケースは、それも難しいことが多いので、今回は入院という形をとらせていただくことになりました。」
家族、か。
郁生の家族は、どんななんだろう?
全然きいたことなかったな。
「いずれにせよ、出産後のこともありますし。一度家族やご親戚とも連絡を取ってみることをお薦めします。」
今後のことか
あの腹の中の存在は、おれの子でもある。
アイツ一人に背負わせてちゃ、いけなかったんだな。
もっと一緒に、しっかり考えねえと。
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