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名付ける 2
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『明日は飲み会だから。』
帰るなりLINEでそう伝えた。
珍しく、すぐに返事がきた。
『じゃあ、名前はまた来週、相談しようか。』
ー名前か。
もうどうでもいい。
一旦、萎えた気持ちは回復しないまま、おれは仕事を理由に、郁生の元へ行かなくなった。
「ケンカでもしたか?」
オフクロに言われたが、無言でやり過ごした。
ナンダカンダで、10日経った。
ーでも、やっぱ
ハッキリさせとかねえと、後で困るよな?
決意したおれはまた、病院の前で課長に出会ってしまった。
「あれ?川上くん。」
課長は、もともと大柄な人だが、その時のおれには更にデカく感じられた。
「御無沙汰してます。」
ーバレる訳には行かねえ!
必死で取り繕った。
「私の母がね、入院しているんだ。もう随分になる。君は、彼女かそれとも、やはり御家族かい?」
「あ、いえ。そのぅ、知人、です。」
「若い人なら、回復も早いだろうね。あ、そうだ。コレを持って行くといい。」
差し出されたのは、餡パンだった。
「え?良いんですか?」
「好物だったんだが、もう無理らしい。」
貼り付けたような笑みが、一瞬、泣き顔に見えた。
「それじゃ、失礼するよ。」
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