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歪んだ感情(視点 叶多)
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「瑠璃は一人暮らしなの?」
と瑠璃に聞く。
瑠璃は目を泳がせ、下を向いて呟く。
「うん、高校入ってすぐにね」
少し暗い声音。
「どうして?」
と優しく瑠璃に聞く。
なぜか気になってしまった。
「…」
しかし、何も答えない。
「どうかしたのか?」
と聞くが何も答えない。
瑠璃に目をやる。
瑠璃はどちらかと言うと放心状態に近い感じだった。
「瑠璃?」
瑠璃の名前を呼んでみるが反応がない。
(どうしたんだ?)
流石に異変を感じた。
「瑠璃!瑠璃!」
瑠璃の名前を呼び続ける。
すると、瑠璃はそっとこちらを向く。
「え?…叶多…君?」
目はこちらを向いているが、瞳孔はこちらを向いていなかった。
一瞬「大丈夫?」と言おうとした。
しかし、すぐその言葉は引っ込んだ。
…瑠璃が泣いているのだ。
「大丈夫じゃ、なさそうだね…」
と呟くと瑠璃はすかさず
「え?大丈夫だよ?何を言っているの?」
と首を傾げながら言う。
なので、一息ついてから、そっと言う。
「だって、泣いてるじゃないか」
瑠璃はそっと自分の頰に手を当て涙を拭った。
「あれ?おかしいな…何で涙が…?」
なので俺はそっと瑠璃に近づき力強く抱きしめる。
(ああ、やっと触れることが出来た)
瑠璃は俺の胸の中で泣いている。
頰が緩む。
笑いをこらえる。
(ああ、可愛い…)
小さくて華奢で可愛い顔で、純粋で。
(今すぐ愛する事が出来たのならどれだけ幸せか…今すぐにでも俺の中に閉じ込めてやりたいのに…)
叶多は声を殺してククッと笑う。
勿論、泣いている瑠璃は気づかない。
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