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過去の苦痛と愛の決断⑥
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紫は人混みに消えていった。
その後ろ姿をただ呆然と見ることしか出来なくて。
息苦しくなった。
「ねぇ、紫…私、なにか間違えたのかな?どこかで紫を傷つけてしまったのかな?わからない、わからないよ…!誰か、誰か教えてよぉぉぉぉぉ!」
ただ、だらしなく泣き叫ぶほかなかった。
紫を追いかけようとは思わなかった。
そっと胸元についた綺麗な綺麗な白の石がついたネックレスに触れる。
紫とお揃いで買ったネックレス。
『これ!夏樹の色だよ!だから私はこれを付けるから、夏樹も私にあった色のネックレスを買ってつけてよ!』
紫は綺麗なオレンジ色の石がついたネックレスを持っていた。
だから私は白い石を選んだ。
紫にぴったりだと思ってその石を紫に見せた。
紫は笑顔で喜んでいた。
でもどこか違和感があった。
ねぇ、この時からなの?
この時から間違えていたの?
わからない…わからないよ…
その白い石のついたネックレスを胸元からひったくるようにしてとって、地面に叩きつける。
いつの間にか雨が降り、雨粒は体を打った。
「うわぁぁぁ!」
泣き叫んだ。
ネックレスを踏みつけた。
それでも気持ちは拭えなくて。
これを気に、紫のことを忘れようとした。
そうすれば苦しみは無くなりいつか楽になると思ったから。
苦しくて苦しくて、悲しくて悲しくて、死んでしまいたいと思った。
脳内に紫の笑顔が浮かんだ。
無邪気で子供のような笑顔。
最近見たはずなのに、何年も前の記憶だと思えた。
そして、さっきの紫の顔。
笑顔なんてなくて。
息ができなくなった。
さようなら、紫…
私の中の光。
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